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キー・ラーゴのodyssのレビュー・感想・評価

キー・ラーゴ(1948年製作の映画)
3.0
【時代の限界】

(以下は、13年前に某映画サイトに投稿したレビューです。某サイトは今は消滅していますので、ここでしか詠めません、時間の経過を考慮の上でお読み下さい。)

少し前にBSから録画しておいたものを正月に見てみました。以前見たのは20年くらい前だったでしょうか。内容はすっかり忘れていました。覚えていたのは、ローレン・バコールにギャングのボスが「山猫だな」というシーンだけ。

このローレン・バコールという女優、典型的な美人タイプではないし、そもそも美形と言えるかどうかも疑問な容姿の人ですが、なぜか印象に残りますね。この映画では清楚な服装をしているので、それが容姿とミスマッチングで、かえって魅力が出ている。

ただ、以前見たときも思ったことですが、これはあくまで古典映画ですね。ローレン・バコールがギャングのボスの顔に唾を吐いても、ボスの対応は穏やかです。はり倒すとか、別室に連れ込んで強○しちゃうとか、そういうことはしない。

同様に、ハンフリー・ボガートがボスの意向を無視してアル中の女に酒をやっても、殺されるわけでもないし、はり倒されることすらない。現代映画を見慣れている人間からすると、どこか進行が甘いな、という気がします。

ハリケーンに襲われるホテルに、ギャング団と一般人が閉じこめられるという設定は面白いし、そこから色々なアクシデントが生まれそうな気もしますが、案外微温的に終わってしまう。例外は先住民の扱いで、ホテル主は先住民に同情的な人間ではあるけれど、家父長的寛容さというレベルを出ていない。そこにも時代が現れているのでしょう。
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