Jimmy

われらの恋に雨が降るのJimmyのレビュー・感想・評価

われらの恋に雨が降る(1946年製作の映画)
4.0
イングマール・ベルイマン監督が撮った第2作目の映画。

雨の中、傘をさした男が観客に向かって話しかけてくるスタイルで始まる。
そして物語は、雨の夜、女が駅の窓口で切符を買おうとしているがお金が足りなくて1駅ずつ手前にしていきギリギリ予算の駅までの切符を買う。
また、郷里に帰ろうとしている男、この女、ともに列車に乗り遅れて待合室で隣どうしとなる。
そして、恋が生まれる……といったテンポよく物語が進んでいく人間性豊かなドラマであった。

出会った夜にベッドを共にする若い男女、以前なら驚いたものだが、ベルイマン監督の作品を次々と観ていくと、こうしたシチュエーションは良くある…(笑)

その若い二人が、まともな生活をしようとする。
男は刑務所から出所したばかりということもあって、なんとかボロ小屋みたいな家を二人で借りて住む。

しかし、女が「知らない男の子供を身ごもって」妊娠していることを知り、女を愛しているが他人の子…ということを悩む真面目な男の姿。

他人の子であっても結婚しようとする「愛の強さ」をみせて、結婚届を出しに行くと「教区の登録がなんたらかんたら…」と言われて、すぐには結婚できない。

そんな2人が暮らしているところに、役人が来て「公用地になるので立ち退き書にサインしてください。二人が知っていたかどうかは“関係ない”」と言って、本当にお役所仕事らしき話をするので、男は役人を殴ってしまって、裁判になる。
この裁判シーンも見事。
……そしてクライマックスへ向かう。


途中、女が不幸な事件の後で言う「思い出は、集めて焼いて捨ててしまおう」なるセリフは名言。

イングマール・ベルイマン監督の人間を見つめる眼がカメラとなって映された映画だったと思う。
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