ぺろ

浪花の恋の物語のぺろのレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
3.8
神保町シアターにて。できるだけ初回はスクリーンで見たい内田吐夢作品。近松門左衛門を狂言回しに、養子の若旦那と花魁との悲恋を描く。端正な錦之助の顔が恋の狂気にゆがむシーンは最高ッ……

奥行のある画面を縦横無尽に動くカメラ、リッチなセットは「花の吉原百人斬り」と同じく様式美にあふれ見飽きない。とはいえ、物語的にも隙のなかった吉原百人斬りに比べると、脚本は少し密度が低い。メタな近松パートは面白いけれど、結果散漫な印象になってしまった気がする。あと、やっぱり若旦那に同情できないというか、お店の人がかわいそうすぎるよ!有馬稲子演じる心優しい花魁も、若旦那が好きというよりはスケベなお大尽の東野英治郎が生理的に無理だっただけにしか思えんし…まぁそれが「悲劇」ではあるのよなぁ…

にしても、この画面作りはスクリーンで見るに限るよ。目の保養になった。
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