半兵衛

オー!の半兵衛のレビュー・感想・評価

オー!(1968年製作の映画)
3.5
粋がったチンピラの栄光と破滅の物語というと『鉄砲玉の美学』を思い浮かべるが、それのフレンチ版といった感じ(こっちの方が先だけど)。ただ軽妙で単純、気のいい兄ちゃんだった渡瀬恒彦に比べると、ベルモンドは自分の名前が新聞に載ってはしゃいだり、有名人になったことに気をよくする一方で自分の運命をどこか悟っているクールなアウトローといった感じ。だからこそかつての自分の過去のことでむきになったり、好きな女に嘘をつくもそれがバレバレだったりといった人間臭さが愛おしくなってくる。

正直言って話の展開はつまらないが、ベルモンドの演技や、暗黒街の乾いた世界を捉えた映像、本当に存在しそうなギャングたちのキャラクターは見ごたえがある。そしてラストの悲壮さ、『鉄砲玉の美学』とは違った苦い破滅。
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