Sari

オー!のSariのネタバレレビュー・内容・結末

オー!(1968年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ロベール・アンリコ監督が大成功を収めた『冒険者たち』のスタッフとヒロインと再タッグを組み、ジャン=ポール・ベルモンドを主役に迎えて、レーサー崩れの若きギャングの成功と破滅を描く犯罪映画。

【ジャン=ポール・ベルモント傑作選】にて上映された作品。

レース中に起こした接触事故でライバルが死亡、殺害の嫌疑をかけられてA級ライセンスを剥奪されてしまったフランソワ・オラン(ベルモンド)。
現在の稼業は犯罪集団のドライバーをしており、ボスのフランソワと一味のシュワルツ兄弟からレーサー崩れの落ちこぼれだと見下されていて、嘲笑気味に「オー」というあだ名で呼ばれている。一方、青年実業家だと偽り、人気モデルのベネディット(ジョアンナ・シムカス)と交際している。
ある日、ボスのフランソワが拳銃の暴発事故で死んだ事を機に、オランは独立して一匹狼として生きていくことを決断するも早速しくじり投獄されるが、脱獄に成功したことで、ルパンとアル・カポネを合わせたような犯罪者の再来だと新聞に書き立てられて、一躍、名の知れた悪党に。
犯罪者であることがベネディットにばれて一度はフラれるも、強引にヨリを戻すオラン。強盗の腕前にもますます磨きがかかってきた頃、かつて自分を見下していたシュワルツ兄弟に命を狙われる羽目になり…。

いつものようなベルモンドの危険なスタントは本作では見られない。
シリアスな展開のノワールだが、軽快なピアノ音楽でコメディ要素を織り交ぜる独特の演出はアンリコ監督ならでは。
音楽はフランソワ・ド・ルーベが手がけ、後の『ボルサリーノ』で全編に使用されたクロード・ボランによる軽快なピアノ音楽にも、少なからず影響を与えているのかもしれない。

顔が割れている元レーサーを運び屋に使ったり、警備が甘く浮浪者に化けてあっさりと脱獄が成功する様、駆け出しのギャングがパリの街中にポスターが貼られているトップモデルとなぜか付き合っている嘘くさい設定などツッコミどころは多々あるが、車やファッションなどお洒落で格好いい要素が散りばめられている。ネクタイを372本集めているというオシャレぶりが魅力。

おそらくヒロイン役のジョアンナ・シムカスの存在がなければ、平凡なアクション映画になっていたことだろう。
オムニバス映画『パリところどころ』でのゴダール監督による短編『モンパルナスとルヴァロア』(1965)以来にジョアンナ・シムカスを観たが、スレンダーでブルジョワのトップモデル役が相応しく、キュートで美しい。

2022/10/28ムービープラス(録画)
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