Tラモーン

スーパー!のTラモーンのレビュー・感想・評価

スーパー!(2010年製作の映画)
4.0
おっさんヒーロー大暴走バイオレンスアクション!

金曜日を有給にして4連休してしまったので明日が憂鬱で真面目な映画なんて観られない…と思って前々からクリップしていた本作がいよいよU-NEXTに来たので鑑賞!
絶対チープでバカっぽくてゲラゲラ笑えるやつよ…と期待してたのにどういうわけだかラストシーンで泣いたぞ😂


冴えない中年フランク(レイン・ウィルソン)は何にもない退屈な人生を過ごしてきた退屈な男。人生のハイライトは愛妻サラ(リヴ・タイラー)との結婚式と、「お巡りさん!あっちです!」と泥棒を指さしたときの2回だけ。そんな人生なのに加えて、麻薬の元締ジョック(ケビン・ベーコン)にサラを寝取られてしまう。
絶望のドン底に突き落とされたフランクは(勝手に)神の啓示を受け、"クリムゾンボルト"と名乗り、麻薬の売人や強盗、児童買春犯をレンチでボコボコにブチのめす復讐のヒーローとなるのだった。


オープニングのアニメがいきなり面白くてかなり引き込まれる!残虐ながら脱力感のあるアニメーションがたまらなく可笑しい。

そしていちいち悪趣味というか、これがジェームス・ガンなのかって感じなんだけど、グロさとバイオレンスのクセが強い。フランクが神の啓示受けるとこなんてエロマンガみたいな触手に掴まれて、レクター博士ばりに頭パカって脳味噌登場!なんじゃこれ。
悪党退治もレンチでブン殴るから普通にただの暴力。映画館の列に割り込んだカップルは女も容赦しねぇ!
ただただそれも妻を取り戻したい中年男の正義感の暴走ってところが切ないのよねぇ。

そしてキーキャラは魅力たっぷりのエレン・ペイジ!フランクがリサーチのために通ったコミックショップの店員リビーにして、クリムゾンボルトの相棒"ボルティー"。
そもそもあんな可愛い子がオタク趣味に理解があるだけでおじさんは嬉しい。そしてボルティーのコスチュームが妙にセクシーでドキドキしてしまう。
アメコミ好きで退屈な日常にうんざりしていたからか、彼女はよりバイオレンス!小物の悪党でも手加減無しで殺しそうになるし、なにより暴走してるときの「アヒャヒャヒャヒャ」って声がヤバい。でもめちゃくちゃ可愛い。あんな可愛い子に男として見てもらえる中年フランクが羨ましい。

そのくらい彼の抱える苦しみが大きくて、決意が固くて、可哀想でカッコよく見えたんでしょう。

2人で銃器を大量買いするシーンが楽しい。そしてフランクがつくった"Bombs"のとこ爆笑しながら3回観直した😂

そこからのハイライトはサラ奪還&ジョックのアジト襲撃作戦!もっとやれ!なノリノリアクションから突然のヘヴィ展開。つらすぎる。そして意外にも正義と悪の存在自体を問うかのような結末に…。

さっきまでのワッショイ感はどこへやら、ヒーローの悲哀に満ちた泣けるラストシーン。サラを取り戻すための戦いだったのに、結局は自分のためではなくサラの人生のための戦いだった。そして1人になったフランクはより良い世界を望む。
だがしかし、正義は別の面から見れば悪であると同時に、正義の反対はもうひとつの正義なのだ。どんなスーパーヒーローも、こんな苦悩を抱えているのかもしれない。

「コマとコマの間で起きてる出来事なのね」
Tラモーン

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