ジョン

ボルベール <帰郷>のジョンのレビュー・感想・評価

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)
4.5
めちゃめちゃ面白かった。コメディでありホラーでありサスペンスでありヒューマンドラマでもある。このジャンルを横断してくる感じや、物語がどこに転がっていくか分からない感じがツボ。おまけに、本作はどんでん返しというか、思わぬ展開が二つあって、しかも内一つは某映画の某ショッキングな展開と全く同じカラクリであるにも関わらず重さや悲壮感が然程なく、アルモドバルが描くとこうも違ってくるのかと感心した。

また、本作はさり気なくフェミニズム的なメッセージを組み込んでいるのが見事。出てくる男が大体クズではあるけど、早々と画面から退場させることで『茜色に○かれる』みたいな辛気臭くて悪意しかない男性嫌悪描写を排除して、完全に"女性の"物語にしている。女性の連帯、女性の自立の物語になっているのだ。
フェミニズムに対して正しい理解や多くの知識がないから正当な評価を下せないかもしれないけど、こういう女性の描き方は真っ当だと僕は感じた。
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