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ミッドナイトクロスのtorumanのレビュー・感想・評価

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
4.0
「良い悲鳴だ…。」

ヒッチコックの信奉者で、映像の魔術師ブライアン・デ・パルマ監督のサスペンス映画です。

映画の音響効果マン(ジョン・トラボルタ)とコールガール(ナンシー・アレン)が大統領候補暗殺の陰謀に巻き込まれる話です。

ストーリーはありきたりなのですが、
映画としての見せ方が、素晴らしく魅力的な作品です。
名撮影監督ヴィルモス・ジグモントの手腕も冴え渡っています🎥

素晴らしいシーン①
セントラルパークでの集音シーン
風が枝を鳴らす音、カエルの鳴き声、虫の声、フクロウの鳴き声、そして銃声!
ヒッチコックのような引きからアップの絵で"音を見せる"斬新さ!
サスペンスフルでドキドキします。

素晴らしいシーン②
事実を解明する為に、雑誌の事故写真の切り抜きをパラパラ漫画の要領で貼り合わせて、音源とともに編集して映画を作成する。
このアイディアと見せ方が本当に面白い!

素晴らしいシーン③
トラボルタがナンシー・アレンを助けに向かうシーン
5分ほどのシーンなのですが、デ・パルマエキスが満載です。
・花火の赤と青の点滅効果
・トラボルタがスローモーションの長回しで走る!
・ナンシー・アレンがアメリカ国旗を背景に叫ぶ!
 (赤・青・白がこの作品のテーマカラーです。)
・ピノ・ドナッジョのエモーショナルな音楽
・花火を背景に、心情に合わせゆっくりと回転するカメラワーク

他にも多数のマジックショットがあり、
全編ヒッチコックのオマージュシーンに溢れています。

出演者も素晴らしい演技です。
それまでスランプだったトラボルタの魅力が、この作品では引き出されています。
音響効果マンという特殊な職業もプロフェッショナルな感じで面白いです。
ちなみに、この作品が大好きなタランティーノ監督が、トラボルタを『パルプフィクション』に起用して再ブレイクしました。

ナンシー・アレンは前作『殺しのドレス』に引き続きの起用、事件に巻き込まれるコールガール役ですが、ラストに至ることで忘れられない役になっています。

冒頭のシーンとラストシーンの繋がりが、とても切ない作品。
自分の中でのデ・パルマ作品は、ヒッチコック作品に最大限のリスペクトを捧げている『殺しのドレス』とこの作品がBestです。
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