味覚は映像では伝わりにくいということを改めて思わされました。
それはそうとして、本作は全体として誇張された人生の展開をただなぞっているだけにしか見えなかったです。登場人物が心情を語りすぎていて全体的にうるさい割に、観ていてただ驚かされるような一瞬がありませんでした。家庭や恋愛といった(映画では)ごくありふれたものをいくら怒涛の展開で見せられても、全然面白くないです。強いていうならば、おじさんが命を捧げてきた調理場で静かに突然死するところのような、一瞬の大胆さが全編にあって欲しかったですね。
「暗い映画なんか見たくない」っていう人にはおすすめかも知れませんが、かといってコメディ調にすれば面白くなる訳ではないとは断言できます。別に暗かろうが明るかろうが、画面の中に複雑な出来事や感情が起こっているものこそ映画的に面白いような気がするのですがね...