菩薩

大樹のうたの菩薩のレビュー・感想・評価

大樹のうた(1958年製作の映画)
4.2
姉、父、そして母までも失い天涯孤独の身となったオプー、せっかく進学した大学は学費の捻出が出来ず2年で中退、小説家になると言う夢だけは捨てずに、それでも貧困の中での生活は変わらず、家賃も払えず雨水をシャワーがわりにする様な暮らしが続く。相変わらずインドの貧困リアリズムは胸に迫るものがあるなぁなんて思いながら観ていたら、唐突にまさかのオプー結婚、しかもなかなかありえない展開&超絶可愛い&いい家の出なのに出来すぎた嫁の三本の矢に射抜かれてとりあえず一旦停止ボタンを押した。気を取り直して観てみたらやはりサタジット・レイは俺を裏切らなかった、ザマァみろ…とは思わないけどオプーの人生を象徴するかの様な一切皆苦な展開にほくそ笑…涙が止まらない(事もない、むしろ泣いてない)。一部・二部に比べかなりドラマチックな方向に振れた三部ではあるけど、最終盤の我が子との再会&和解シーンは流石に堪らぬ、我が子を肩に背負い意気揚々と歩き出すオプー、ラストシーンとしてこれ以上の締めくくりも無いように思える。是非お買い求めの際は三枚セットでどうぞ、日本人には受ける作品だと思う、なんたって黒澤にそっくりの質感、共鳴してたのが分かる。
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