大樹のうたの作品情報・感想・評価

「大樹のうた」に投稿された感想・評価

ち

ちの感想・評価

4.2
愛する者を失い続ける人生の痛み。幸福からの転落と再び見つけた希望。初夜のシーンなど、人と人が互いを認め合い歩み寄ることの幸福を捉えていると思う。冒頭の室内、室外(雨)、室内、階段、外の流れるような展開は好きですね。サタジット・レイ三部作の後半二作品は演出が素朴なので評価はそれほどされていないようだけれど、それでも十分に映画として的確であるように思えます。
pika

pikaの感想・評価

4.0
オプー3部作③
オプーの成長が生々しいほどリアル!笑
現代にもゴロゴロいそうだけど何だか昭和の学生みたいな、夢で人生を食いつぶさんばかりなモラトリアムっぷりで冒頭からめちゃくちゃ面白いのに、そっからまさかまさかの衝撃展開!まさかオプー3部作で胸キュン恋愛ドラマを味わえるとは!愛らしすぎてニヤニヤが止まらないし隅々魅力的でクソたまらん!

演出の凄さもあるんだけど気にしてられないくらいのめり込んでオプー一家の行く末に一喜一憂するというのか、映画であると言うのをスッカリ忘れて伝記ドキュメントを見ているような、この後もまた見ていたいし延々見てられるくらい面白かった!

後半の展開は現代の奥様方からしたらボッコボコにしたくなるクズっぷりであるけれども、そうなってしまったオプーの弱さや脆さや絶望に感情を寄せられる極上の演出なのでラストシーンでホロリと胸を打つ。
赤貧過ぎる設定であったり文化の違う国の数十年前のドラマであるけれども、今も昔も国も文化も変わらぬ家族愛や、人間の成長という部分で山あり谷ありなダメさや魅力が、他人事ではなく自分のことのように投影できたりして引いて見られぬ味わいの深い面白さだった。
束の間の幸せと不遇な人生を味わったオプー三部作の最終章で、まさにシリーズの締めにこれ以上ないというくらいの作品。

序盤は瑞々しい人物描写が多い反面景色の描写が少なくて若干不安になったものの、それも杞憂に終わり友人の村に訪れたところからはいつもの美しい描写が多数見られて安心したし、しかも序盤の人物メインの描写が都会と田舎の対比にも感じられ、此の期に及んでサタジット・レイを見縊っていた自分に猛省した。

そんな美しい描写の連続だが、そこには美しさだけでなく侘しさや寂寥感がこれまで以上に感じられるものとなっており、主人公の部屋で泣く花嫁が外の嬰児を見つけて見入る場面や放浪する主人公が歩く風景はとても心に沁みたのだけど、特に陽光を見つめて小説を書いた紙を放り捨てる主人公の佇まいは心に残って堪らない姿となっていた。

終盤の黒澤明ばりのヒューマニズムが炸裂する展開もシリーズを締めくくるのに相応しいもので、この作品単体の終わり方としても良かったのだけど同時に過去作品で起こったことや印象的なシーンの数々が脳内に去来して胸が一杯になった。

そして見終わったら日本独特の侘び寂びの情緒を日本人以上に理解しているんじゃないかと思えるほど卓越したサタジット・レイの感性に感服する他なく、つくづく良い監督だと感動至極だったのだけど、現代においてこういう侘び寂びの感じられる映画を撮る監督っていうのはアキ・カウリスマキやシャルナス・バルタス等少数しか思いつかないから、世界中の映画監督はもっとサタジット・レイの作品を見て勉強するべきなんじゃないかと心底思う。
あ

あの感想・評価

4.2
2部も借りた!と思ったら大樹のうた重複していた
オポルナの美しさ
菩薩

菩薩の感想・評価

4.2
姉、父、そして母までも失い天涯孤独の身となったオプー、せっかく進学した大学は学費の捻出が出来ず2年で中退、小説家になると言う夢だけは捨てずに、それでも貧困の中での生活は変わらず、家賃も払えず雨水をシャワーがわりにする様な暮らしが続く。相変わらずインドの貧困リアリズムは胸に迫るものがあるなぁなんて思いながら観ていたら、唐突にまさかのオプー結婚、しかもなかなかありえない展開&超絶可愛い&いい家の出なのに出来すぎた嫁の三本の矢に射抜かれてとりあえず一旦停止ボタンを押した。気を取り直して観てみたらやはりサタジット・レイは俺を裏切らなかった、ザマァみろ…とは思わないけどオプーの人生を象徴するかの様な一切皆苦な展開にほくそ笑…涙が止まらない(事もない、むしろ泣いてない)。一部・二部に比べかなりドラマチックな方向に振れた三部ではあるけど、最終盤の我が子との再会&和解シーンは流石に堪らぬ、我が子を肩に背負い意気揚々と歩き出すオプー、ラストシーンとしてこれ以上の締めくくりも無いように思える。是非お買い求めの際は三枚セットでどうぞ、日本人には受ける作品だと思う、なんたって黒澤にそっくりの質感、共鳴してたのが分かる。
K2

K2の感想・評価

4.0
サタジットレイによるオプー3部作その3。生、家族、死を根幹に据えたシリーズの終作。

花婿が発狂して結婚式が中止になり、このままだと一家が呪われてしまうから代わりに花婿になってくれという要望を「そんなのは迷信で時代錯誤だ!」とはねつけるシーンが好み。
最後に"友達"から始まるのも一から関係を積み上げ直す感じが出てて良かった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.0
2017/5/10鑑賞(鑑賞メーターより転載)
「大河のうた」から連続して最終作を鑑賞。すっかり大人へ成長したものの多くの人を失ったオプーが、ふとしたきっかけから得た最大の幸福。この甘い時間の描写のハートフルさは今まで観た映画の中でも有数にピュアで美しい...のだが、その後オプーに訪れる運命が全てを変えてしまう。ものすごい遠回りをしたうえで最後にようやく見いだせた希望に、まるで自分の事のように嬉しさを覚えた。1人の人生を連作で描くというシリーズはいくつかあるが、ここまで激動の年月を短時間で駆け抜けた映画があっただろうか。紛うことなき名作シリーズ。
クロ

クロの感想・評価

4.7
本作はサタジット・レイ監督によるオプー三部作(大地のうた、大河のうた、大樹のうた)の最後の作品である。老婆心ながら鑑賞される方は制作の順に沿って是非ご覧頂きたい。主人公オプーの半生、彼とえにしを持つ人々を描く本シリーズを見終え、大きな河の流れに揺られ長い旅をし、今、岸に足を下ろした、そんな安らぎと一抹の寂しさに包まれた。

肉親を失い身寄りの無い文学青年のオプーは金策に尽きて大学を中退する。家賃にも事欠く貧しい日々だがおおらかさとウィットで孤独をむしろ楽しんでいる。ある日、オプーを案じた学友プルーが彼を訪ね、プルーの故郷へ招かれる。そこでプルーの従妹のオポルナの婚儀にトラブルが生じ、花婿の代役として初対面のオプーが担がれ急遽彼女を娶ることになる。新婚生活は初め、たどたどしく覚束ないが、やがてふたりの間に信頼が生まれ彼女は子を宿す。ところが出産のための里帰りで男の子カジュルを早産し彼女は帰らぬ人となる。失意のオプーはカジュルを置き去りにして放浪の旅に出る。

監督の基底にあるのは、全ては流転し、確かなものはひとつもない、という無常観だろうか。人間とは濁った大河にたゆたう泡沫のひとつひとつである。幸福も不幸も、夜、揺れる川面の煌めきと陰りとして、ただそれらのうつろいを慈しむように見つめよう。そんな抒情を映像から感じる。

結婚という望みもしなかった運命に潔く身を投じるオプーの若さ、不安に震えるオポルナへの労り。新婚のふたりの一秒でも離れていたら世界が傾いてしまいそうな盲目と熱情。愛する人の突然の喪失に荒んで痩せこけてゆくオプーの痛々しさ、たとえようのない孤独。オプーを決して見放さないプルー。親を知らないカジュルの怒り、寂しさ、そして和解。それらが、監督の引きの眼差しを通して風景と共に強く心に刻まれた。とりわけ、オポルナとオプー、そして、オプーとカジュルが心を許し合う過程は、二輪の花がひらく様を見る思いだ。

随所に挿し込まれる河/水のすがたが生き生きと輝いていてとても綺麗だった。監督は、同じくインドで河にまつわる美しい作品を残したジャン・ルノワールと交流があったらしい。
kapo

kapoの感想・評価

4.9
インドのカルカッタで
天涯孤独な青年オプーがひょんな事から
人生がどんどん変わっていく様子に釘付け。

オプー三部作と言われている傑作集の
なぜか最終章を最初に観てしまう失態。
それでも全然楽しめて
大好きな作品にランクイン。

細かい描写や粋な演出に
心が踊って奪われた。
しかも胸キュン。

一見過酷に見える環境や状況で、
人生に於ける幸せの頂点と底辺を
見せながらも
その本質にある愛・生・死に
優しさと強さを交えて
センス良く描いている。

ボロボロの家だったりするのに、
この品の良さはなんなん!
という感動がポタリ。
そして
人生の大きな流れを自然に描いて
最後にフワっと生まれる希望。

自然の撮り方も台詞も
色々と素晴らしくて、
感情が豊かになる。
これは前2作も早く観なくては。

こんな昔にインド映画で
ボリウッドではないドラマ映画が
あったなんて、
ますます映画が面白い。
サタジットレイの傑作‼️
三部作のラスト。
個人的には一番好き。
>|