大樹のうたの作品情報・感想・評価

「大樹のうた」に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

4.2
姉、父、そして母までも失い天涯孤独の身となったオプー、せっかく進学した大学は学費の捻出が出来ず2年で中退、小説家になると言う夢だけは捨てずに、それでも貧困の中での生活は変わらず、家賃も払えず雨水をシャワーがわりにする様な暮らしが続く。相変わらずインドの貧困リアリズムは胸に迫るものがあるなぁなんて思いながら観ていたら、唐突にまさかのオプー結婚、しかもなかなかありえない展開&超絶可愛い&いい家の出なのに出来すぎた嫁の三本の矢に射抜かれてとりあえず一旦停止ボタンを押した。気を取り直して観てみたらやはりサタジット・レイは俺を裏切らなかった、ザマァみろ…とは思わないけどオプーの人生を象徴するかの様な一切皆苦な展開にほくそ笑…涙が止まらない(事もない、むしろ泣いてない)。一部・二部に比べかなりドラマチックな方向に振れた三部ではあるけど、最終盤の我が子との再会&和解シーンは流石に堪らぬ、我が子を肩に背負い意気揚々と歩き出すオプー、ラストシーンとしてこれ以上の締めくくりも無いように思える。是非お買い求めの際は三枚セットでどうぞ、日本人には受ける作品だと思う、なんたって黒澤にそっくりの質感、共鳴してたのが分かる。
K2

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4.0
サタジットレイによるオプー3部作その3。生、家族、死を根幹に据えたシリーズの終作。

花婿が発狂して結婚式が中止になり、このままだと一家が呪われてしまうから代わりに花婿になってくれという要望を「そんなのは迷信で時代錯誤だ!」とはねつけるシーンが好み。
最後に"友達"から始まるのも一から関係を積み上げ直す感じが出てて良かった。
mikoyan358

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4.0
2017/5/10鑑賞(鑑賞メーターより転載)
「大河のうた」から連続して最終作を鑑賞。すっかり大人へ成長したものの多くの人を失ったオプーが、ふとしたきっかけから得た最大の幸福。この甘い時間の描写のハートフルさは今まで観た映画の中でも有数にピュアで美しい...のだが、その後オプーに訪れる運命が全てを変えてしまう。ものすごい遠回りをしたうえで最後にようやく見いだせた希望に、まるで自分の事のように嬉しさを覚えた。1人の人生を連作で描くというシリーズはいくつかあるが、ここまで激動の年月を短時間で駆け抜けた映画があっただろうか。紛うことなき名作シリーズ。
クロ

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4.7
本作はサタジット・レイ監督によるオプー三部作(大地のうた、大河のうた、大樹のうた)の最後の作品である。老婆心ながら鑑賞される方は制作の順に沿って是非ご覧頂きたい。主人公オプーの半生、彼とえにしを持つ人々を描く本シリーズを見終え、大きな河の流れに揺られ長い旅をし、今、岸に足を下ろした、そんな安らぎと一抹の寂しさに包まれた。

肉親を失い身寄りの無い文学青年のオプーは金策に尽きて大学を中退する。家賃にも事欠く貧しい日々だがおおらかさとウィットで孤独をむしろ楽しんでいる。ある日、オプーを案じた学友プルーが彼を訪ね、プルーの故郷へ招かれる。そこでプルーの従妹のオポルナの婚儀にトラブルが生じ、花婿の代役として初対面のオプーが担がれ急遽彼女を娶ることになる。新婚生活は初め、たどたどしく覚束ないが、やがてふたりの間に信頼が生まれ彼女は子を宿す。ところが出産のための里帰りで男の子カジュルを早産し彼女は帰らぬ人となる。失意のオプーはカジュルを置き去りにして放浪の旅に出る。

監督の基底にあるのは、全ては流転し、確かなものはひとつもない、という無常観だろうか。人間とは濁った大河にたゆたう泡沫のひとつひとつである。幸福も不幸も、夜、揺れる川面の煌めきと陰りとして、ただそれらのうつろいを慈しむように見つめよう。そんな抒情を映像から感じる。

結婚という望みもしなかった運命に潔く身を投じるオプーの若さ、不安に震えるオポルナへの労り。新婚のふたりの一秒でも離れていたら世界が傾いてしまいそうな盲目と熱情。愛する人の突然の喪失に荒んで痩せこけてゆくオプーの痛々しさ、たとえようのない孤独。オプーを決して見放さないプルー。親を知らないカジュルの怒り、寂しさ、そして和解。それらが、監督の引きの眼差しを通して風景と共に強く心に刻まれた。とりわけ、オポルナとオプー、そして、オプーとカジュルが心を許し合う過程は、二輪の花がひらく様を見る思いだ。

随所に挿し込まれる河/水のすがたが生き生きと輝いていてとても綺麗だった。監督は、同じくインドで河にまつわる美しい作品を残したジャン・ルノワールと交流があったらしい。
kapo

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4.9
インドのカルカッタで
天涯孤独な青年オプーがひょんな事から
人生がどんどん変わっていく様子に釘付け。

オプー三部作と言われている傑作集の
なぜか最終章を最初に観てしまう失態。
それでも全然楽しめて
大好きな作品にランクイン。

細かい描写や粋な演出に
心が踊って奪われた。
しかも胸キュン。

一見過酷に見える環境や状況で、
人生に於ける幸せの頂点と底辺を
見せながらも
その本質にある愛・生・死に
優しさと強さを交えて
センス良く描いている。

ボロボロの家だったりするのに、
この品の良さはなんなん!
という感動がポタリ。
そして
人生の大きな流れを自然に描いて
最後にフワっと生まれる希望。

自然の撮り方も台詞も
色々と素晴らしくて、
感情が豊かになる。
これは前2作も早く観なくては。

こんな昔にインド映画で
ボリウッドではないドラマ映画が
あったなんて、
ますます映画が面白い。
サタジットレイの傑作‼️
三部作のラスト。
個人的には一番好き。
オプー三部作の最後のひとつ。数ヶ月空けて見たけど、全2作の内容がシンプルかつインパクトが強いのでどんな話やったっけ?ってのが全くなかったからよかった。本作はまず、カルカッタにある大学で勉強するオプーが2年目で学費が払えなくなって、大学辞めて家庭教師しながら小説を書いてるとこから始まるねんけど、友人の誘いで田舎の妹の結婚式に出席したら、まんまとその妹と結婚させられるという急展開!何じゃそりゃ!そんなことになったとて結婚に同意なんて絶対しないでありましょう!って運びやけど、まぁしちゃうんですね、彼は。でも、実際結婚してカルカッタに連れて帰ってしまうと、満更でもない。それどころかもー大好きになってしまって、ラブラブになってしまう。そのロマンスが近代化の進んでいない街の中のボロっちいアパートのなかで繰り広げられるのだよ、見てるこっちが恥ずかしくなるレベルで笑 で、とある事情で嫁が田舎に一時帰らないといけなくなったからってので、駅に行って電車でお別れする前に、手紙週2で書いてくれなきゃ絶交よ!もちろんだよ!みたいな言葉を交わして、別れ際もものすごい眼差しで見つめ合う。やれやれ、と思っていると、とんでもない悲劇が起こってしまう……前2作があまりにも薫り高い傑作だったのと比べると、若干前半は魅力が減ってる感じがした。見てるときなぜかちゃんと集中できなくて、だからそう思ったのか、逆にちょっと退屈だから集中できなったのか、どっちなのかよくわかりませんので、確認のためまたそのうち見てみよっと。ただ後半はすばらしいですねー。ほんとにbeautifulだった。最後の展開には涙がホロリ。ときどきハッとするくらい美しい映像(雨のシーン、電車のシーン、田舎のシーンなど)に目が奪われるのと、音楽がほんとにすばらしい。音楽が映画全体に漂う詩情を大いに高めてると思う。オプーが3作目に至るまでに経験したあらゆる喜びや悲しみがすべて比較的さらっと描かれてきた割に、恋の喜びはなかなか濃厚に描いてあるように見えたのが、面白かった。恋の喜びはかなり強く生の喜びに結びついている、ということなのでしょうかねぇ。
マイク

マイクの感想・評価

4.5
前二作には
少し劣るかもわからないですが
こちらも良いです。、

雰囲気がもう好きなんですかねぇ。
僕は二作目が1番好きですが


これも全部Blu-ray欲しい。
梅田

梅田の感想・評価

4.2
サタジット・レイ初期三部作、完結編。天涯孤独となった青年オプーの物語の焦点が家族から恋へと移るのは必然だけど、参列した結婚式で花婿が発狂したから代わりにその場で結婚させられるという凄まじい展開には衝撃。笑
この映画における喪失が前2作と違う意味を持つのは、それまで何も持たなかったオプーが初めて「得たものを失う」という体験をするからだろう。もう一度新婚の二人のシーンを観返したらきっと泣いてしまうと思う。
そして物語はやはり縦軸の関係に戻る。クライマックスの親子の対面は本当に……。「友達」という言葉に込められている、ここから全て始まるのだという希望、ハッピーエンドだった。良かった。
エディ

エディの感想・評価

3.9
インド映画界の巨匠サタジット・レイによる恵まれない一人の男が成長して一人前になっていく過程を描いた感動的な三部作の完結編。インド映画と言ってもボリウッドのような大衆映画ではなく、この映画では貧しい青年が結婚して子供を授かるが捨て、最後に引き取って一緒に暮らす過程を丁寧に描いている。
昔、三部作を通してみたときは、日本とのあまりの境遇の違いに唖然とし、普通に生きることの大変さにショックを受け、それでも人生は流れているという壮大な気分になったのを覚えている。しかし、今はこの主人公オプーを描いた三部作で観ることができるのは今作のみのようだ。勿論、前二作を観なくてもこの映画は楽しめる。
主人公オプーは親を早くに亡くし孤児状態だったのに苦労して大学に入ったものの、学費を捻出できなくなり中退する事になる。粗末なアパートに住み食事も満足に取れない激貧生活を続けるが、なおも這い上がっていこうと職を探す傍ら小説を書き続ける。そんなある日、学生時代の親友が訪ねてきて、親友の故郷で行われる親戚の結婚式に行こうと誘われていったら、花婿のトラブルでオプーが結婚させられてしまう。。。
貧困の中でも明るさを失わないオプーは、あまりに不条理な結婚も「これも人生」と受け止める。そして、結婚生活に入るのだが、彼が考えていたよりもはるかに素晴らしい毎日だった。この新婚シーンが秀逸で、手紙のやり取りやちょっとした仕草など随所にどん底の暮らしの中でも幸せだということを感じさせてくれる。今まで独りで這い上がることばかい考えていたオプーはいつの間にか小説を書く事を止め、妻と幸せな毎日を送っていたが、妻が亡くなったことでさすがのオプーの心も折れてしまう。不屈のオプーは幸せになるのが怖かったのだが、せっかく手に入れた幸せが無に帰してしまったことで廃人同様になってしまったのだ。
頑張ってすごい環境の中を生き抜いてきたけど、それでもどうにもならないときの喪失感が見事に表現されている。亡くなった妻のお腹にいて奇跡的に産まれた子供の面倒を放棄し彷徨い続けるのだが、またしても親友の訪問で息子と再会する。
ぎこちない接し方をしていたオプーだが、自分の子供を観て再び生きる力が湧いてきたのだ。この子のためにも力強く生きようと。
オプーという人生の川を描いてきたシリーズで伝えたかったのは、ひとりの人間にとって自分の人生だけ命ではなく、命は綿々と受け継がれていくということを伝えたいのだと自分は感じた。まるで大河のようにゆったりとした流れの映画だ。
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