菩薩

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版の菩薩のレビュー・感想・評価

-
物語の枠組み内である事が明示され続ける割にはそれはひたすら後景化され、結局は人々を如何に移動させ続けるかに付随するものとして物語が存在しているだけの様に思えるし、重要なのはイメージであって景色であったり思考そのものであって、そこに自然発生的に立ち上がってくるものを如何に伝達するかに主眼が置かれている様に思えた。近年のヴェンダースが3Dに頑なにこだわりを観せる(と言っても大して観てないが…)のはこの延長線上から抜け出せていない為だと思ったし、確かに自分の脳内イメージをそのまま他者に伝達する事が出来たらと思う反面で、それは同時に映画監督の存在の死をも意味するジレンマを抱えている様な、そんな引き裂かれそうな感情をこの映画の終盤の叫びの中に感じてしまった気がしている。忙しなく移動を重ねた結果辿り着くオーストラリアで儚くも散る夢と現実、ただその先にはついに宇宙にまで到達するのだから、ロードムービーとしては確かに「究極」なのかもしれない。ディジリドゥセッションはどうしたってGOMAを想起するし、夢のイメージ化はもはやパプリカじゃん、にしたって長げぇよ。
菩薩

菩薩