ILLminoruvsky

豚と軍艦のILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

豚と軍艦(1961年製作の映画)
3.5
原題『豚と軍艦』(1961)

監督 : 今村昌平
脚本 : 山内久
撮影 : 姫田真佐久
編集 : 丹治睦夫
音楽 : 黛敏郎
出演 : 長門裕之、吉村実子、他

在日米軍基地の町・横須賀市を舞台に、ヤクザ組織の横暴や、兵士たちの欲求を受け止めることで生き抜く女たちといった戦後日本の現実を、養豚の飼育係に任じられたチンピラとその恋人の目を通じて、今村昌平監督が、戦後の安保体制の下、混迷しながら欲望の道へと突き進む日本人の姿を基地ヤクザにたとえ、痛切に批判し寓意的に描いた社会派ドラマ映画。


戦後の日本人を風刺し、今村昌平が「重喜劇」のスタイルを確立したと言われる作品。

クライマックスの横須賀のドブ板通りを占拠しひしめく豚の群れの描写は本作最大の見所で、今村昌平の群衆なり豚なり何かが画面いっぱいに埋めつくしひしめくシーンは、この時期の今村作品の「映画」的視覚演出の最大の魅力の一つだし、欣太がキャバレーの便所の中で便器に顔を埋めて絶命するシーンも今村演出が冴え渡っています。

そして、春子が米兵達の元へ向かうパンパンたちの集団とすれ違い、集団の流れに立ち向かうように自分一人で駅に向かって颯爽と歩いていくラストシーンも素晴らしかったです。
ILLminoruvsky

ILLminoruvsky