上海十月

乾いた花の上海十月のレビュー・感想・評価

乾いた花(1964年製作の映画)
4.0
個人的に最高にカッコいい池部良が観れた。池部良って結構まともな役が多いのと「昭和残俠伝」で高倉健に助太刀する感じの印象が強かった。文春の木曜邦画劇場で春日太一が本作を紹介している記事を読んでクライテリオン版DVDを購入しながらまだ観てない事に気がつかされた。極めて政治的な内容でサイケデリックな映像をぶち込んだのが本作。加賀まりこのコケテッシュでファムファタルな感じが最高!手本引きのシーンの緊張感が一種のアクションシーンで花札をきる音は、タップの音にしていて武満徹の実験的音楽が、不条理ヤクザ映画に見事にマッチしている。篠田正浩は同年傑作「暗殺」も作っている。東野英治郎と宮口精二のヤクザ親分ぶりも東映と違って自然体。「アウトレイジ」のようにも見える。この時の篠田作品は、最強だ!スコセッシが30回観たというのは、頷ける。アメリカンニューシネマ「俺たちに明日はない」は67年なのでアメリカは、まだヘイズコード時代。すでに日本は、サイケな時代に突入していたのだ。本作を観ながら後年、どうにもならない映画を作る篠田正浩とは、とても思えない。
上海十月

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