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Dolls ドールズのmitakosamaのレビュー・感想・評価

Dolls ドールズ(2002年製作の映画)
3.8
HANA-BIのベネチア受賞は北野武にとってやっぱり大きな転換点だったと思う。国際的評価の高まりにより、いままで普通に作っていた作風を意識するようになり、意図的に同じ表現を避けるようになった。
何と言ってもキタノブルーからの脱却。菊次郎がグリーンを基調にした上で、今作では四季による色の変化を全面的に出してきた。
そして、人形浄瑠璃というモチーフ。日本の四季の表現といい、ナショナリズムをかなり意識した作品となったと思う。
この時期は今まで無意識に作った美意識が、良くも悪くも計算づくで作るようになったね。この傾向はTAKESHIS、監督ばんざい、アキレスと亀まで続いてると思う。

あの夏〜のリベンジも考えていたのかもしれない。
北野映画では数少ないラブストーリー。さらに珍しい菅野美穂と西島秀俊というキャスティング。
失恋のショックで精神を病み記憶喪失になった女と罪の意識に苛まれる男の放浪劇。この精神を病んだ女は“この男〜”の妹役を思い浮かべるね。
あと、失落したアイドルとおっかけ、元ヤクザとの中年の恋愛劇を並行しては話が進む。

残酷なまでに美しい映画。美意識といい北野武の藝術的センスが最も際立ったと思う。そして最後の最後に救いを持ってくる。これは正直ヤラレタと思たわ。
ロシアでは2年間のロングヒットだったんだと。世界の北野に偽り無しですな。
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