ひたる

ネバーエンディング・ストーリーのひたるのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

物語世界をのぞく時、物語世界もまたこちらをのぞいているのだ。

映画は完全な受動的媒体だが、本はどうだろう。書かれた文章を読む点では受動的だが、ページを自らの手で捲ることにより物語を進めていくという点では能動的と言えるのではないだろうか。
今作は読み手/紡ぎ手どちらも担う存在として主人公が描かれている。メタ要素のある作品は大好き。恐らく最初期にあたる今作を観れてよかった。

特殊造形は全体的にレベルが高かった。一方でスフィンクスのレーザービー厶避けれんのかーい!みたいなツッコミどころも多かった。爺さんが直前に放った「今まで誰1人通過できた者がおらんのじゃ…」みたいなセリフが完全に前フリでしかない。
全体的にご都合主義的で駆け足な展開が目立つ。虚無の使者を自称する黒い狼とか、散々引っ張っといて最終的に攻撃空振りした挙句一撃でやられたし。出てくる意味あった?尺の配分が下手すぎる。冒頭にある異種族間の会話をもっと削ればいいのに。最初あの異種族たちが主人公をアシストするサブキャラ的立ち位置なのかと思ったらその後一切出てこん。

そしてファルコン。特別醜いデザインでもないのに心がザワザワする気持ち悪さがある。犬の顔をしたドラゴンだが、人面犬に似た不気味さ。目が妙にキラキラしてて、まつ毛があるのが原因だと思う。できれば2度と見たくない不快さ。

ラストの主人公がファルコンに乗っていじめっ子三人衆を追いかけ回すシーン、原作を改変した部分らしく原作者のミヒャエル・エンデは激怒して裁判沙汰にまでなったとか。
「モモ」と同じ作者なのは知らなかった。原作の「はてしない物語」を読んでみたい。
ひたる

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