YUTA

ネバーエンディング・ストーリーのYUTAのレビュー・感想・評価

3.8
『はてしない物語』
ドイツが誇る児童文学作家、ミヒャエル・エンデの傑作ファンタジー。

小学生の頃、学校の図書室で一際異彩を放っていた本。他とは明らかに違ったオーラを放っていた本。

ブックケースに描かれた絵。迷路園の中心で、夕焼けの空をバックに白く輝きながらそびえ立つエルフェンバイン塔。その塔へと延びる一本のくねくね道。その両側にはライラックと黄花藤の茂みに囲まれた空き地が広がり、茂みの中から2頭の一角獣が道へ飛び出ようとしていて、木々にはフェニックスが3羽とまっている。

ケースから出すと、表紙があかがね色の絹でできた豪華な本が登場。表紙をよくよく眺めてみると、2匹のヘビが描かれていて、それらはそれぞれ相手の尾を噛んで楕円に繋がっている。そしてその円の中には「はてしない物語」の文字が刻まれている。

初めて手に取った時は、どこか神聖な気持ちになったのを覚えています。その時の私は、こんな分厚い本読めそうにもないと諦めていたんですが、後になって読んでみると、なんて素晴らしい!!これは一生の宝物だ!!とほんとに心の底から満ち足りた気持ちになりました。この本を読んだ者にしか得られないものがあるんですよね。

本を開けば、まさに題名の通り、そこには果てしない物語、果てしない世界が広がっていて、読者は壮大な冒険の旅に出ることになる。読んでいる間はとにかく濃密な時間が流れていて、読み終えたくない!でも次のページが待ちきれない!そんな至福のひとときを過ごすことができます☺️。

そんな大著『はてしない物語』を95分程度で描けるわけがないんですよね。本作『ネバーエンディング・ストーリー』が嫌いということではないんです。星は3.8つけてますしね。ファンタージエンの生き物たちもSFXを駆使して個性豊かに作られてましたし、嫌いではないんですけど、やっぱり無理があるんだなぁ。

『はてしない物語』は最初から最後まで全てが重要で、どこか一つ抜けただけでそれはもう果てしなくも何もないんです。ストーリーか長いので、時間的制約のある映画では全てを描くことは中々厳しいとは思うんですが、バスチアンの物語も描いて欲しいと思うのは、原作が好きな方なら誰もが思うこと。ほんとに面白くて感動的で考えさせられるんですよね。

そういう残念な部分はありますけど、上にも書いた通り、本作がSFX技術によってファンタージエンという無限の広がりを持つ世界を見事に映像化したことは凄いですし(当時としては)、アトレーユ、バスチアン、幼ごころの君を演じたそれぞれの子役も可愛いらしい。そして忘れてはいけないのが主題歌!誰もが一度は聞いたことがあるチョー有名な名曲!世界観と見事にマッチしていて『ネバーエンディング・ストーリー』といえば主題歌!っていうくらい定着してますね!

っとまあ、原作への愛からあれこれと本作について書いたんですが、なんだかんだで映画の方も好きなんです!

そういえば、映画館では時間的制約に縛られますが、今はストリーミングサービスがあるので、そっちのフィールドでだったら長時間でもいけるんじゃないかなぁ。もしかしたらリメイク版が製作される日が来るかも。。。
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