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小さなジャンボのmitakosamaのレビュー・感想・評価

小さなジャンボ(1977年製作の映画)
3.6
やなせたかし原作のミュージカル。

ナマケモノの国でのんびり暮らす国民(約3人)と王様。
そこに象使いの少年バルーと子象のジャンボ。仲良しな二人に国民もニコニコ。愉快でアバンギャルドなミュージカルシーン。

ムチで象を操るバルーだが「ムチは叩く為じゃなくて音を出す為だよ。ジャンボはこの音でハッピーになっているよ」と丁寧に歌で説明してくれる。クレーマー対策もバッチシだ(笑)

でも隣国の戦争の影響が平和な国にも訪れる。やむを得ず子象のジャンボを殺して食べる提案をする王様。でも出来ずに終わる。
戦争は終わり、また平和が訪れる。生きていることの喜びがそこにあった。

やはり、やなせたかしが戦争経験者だからこその物語だよな。戦争で殺し合うことの虚しさよりも命の素晴らしさを謳う。
「手のひらを太陽に」の歌の持つ生命讃歌よ。

西の国と東の国で行われる戦争とは、当時の東西冷戦からだろうし、戦争で犠牲になる象とは、太平洋戦争時の上野動物園の“かわいそうな象”からきているは間違いないでしょう。

やなせたかしの主張する優しさと強さ、戦争への怒りと平和への想いは決してブレることがない。それに絵柄がアニメーションの表現にホント向いているんだよな。後にアンパンマンへと繋がる“愛と勇気”がすでに垣間みれる。
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