ハレンチ学園在学生

美しきセルジュのハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

美しきセルジュ(1957年製作の映画)
3.6
30年ほど前、ロラン・バルトが「美しきセルジュ」について言及していたエッセイを読んだ記憶があるが何を書いていたか覚えてない。ようやく本作を見たわけだが舞台となったクルーズ県サルダン(監督の母の故郷らしい)という地域があまりに閉塞的で、そこに暮らすほぼすべての者が生気がなく描かれているため、かなり気が滅入ってくる。セルジュとフランソワの美しき友情の物語と理解はするものの、優秀だったセルジュがなぜあのように落ちぶれてしまったのか(初子が死産だったことに起因するのだろうが)、フランソワがどうしてあれほどセルジュを立ち直らせようと力を尽くすのか(それが友情というものなのだが)が今ひとつピンと来ず、もやもやしたまま終わってしまった。特筆すべきはアンリ・ドカの撮影で、透徹したモノクロームの画面が息をのむほど美しかった。