あしからず

美しきセルジュのあしからずのレビュー・感想・評価

美しきセルジュ(1957年製作の映画)
3.9
初監督作にして”ヌーヴェルヴァーグの発火点”という偉業はもっと称えられるべきだがゴダールやトリュフォーなどに隠れがち。自分もやっと観。
かつて輝いていた同級生を取り戻そうと命を削るフランソワ。思春期における同性の親密な友人関係は同性愛に近いという記述をどこかで見たが、2人の関係性はまさにその延長。どうしても劣等感に溢れる野良犬のようなセルジュに共感してしまう。

オールロケでシャブロルゆかりの地であるフランスの田舎を飾り気なしに映すアンリ・ドガのカメラも良い。オーバーラップする雪の美しさ。吹雪の闇夜の懐中電灯がいい仕事してた。
遺産相続したマヌケ役で本人出演(シャブロルは妻の祖母の遺産でこの映画を撮った)。フィリップ・ド・ブロカがジャック・リヴェットの名で一瞬登場。
円熟と瑞々しさがない交ぜになったなんとも言えない後味が沁みる。たしかにカトリック的だ。
あしからず

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