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召使のkojikojiのレビュー・感想・評価

召使(1963年製作の映画)
3.6
また、男同士が愛し合う作品か。
と言っても、こちらは恋愛関係ではなく支配関係だけど。

サスペンスです、人間ドラマです、少々ネタバレ気味です。注意⚠️







アフリカからロンドンに帰った貴族階級の青年トニー(ジェームズ・フォックス)は、召使にバレット(ダーク・ボガード)を雇う。
バレットは、食事や身の回りの世話を見事にこなし、次第にトニーは彼を手放せなくなる。それが恋愛感情まで発展していたと知らされるのは後のこと。キスシーンやベッドシーンがあるわけではない。壁に男達の写真が貼ってあるだけなのだが。

婚約者のスーザンはバレットを毛嫌いし、どこかで二人の関係の異常さに気がついているようで、クビにするように言うが、トニーはそれに応じない。
ある日、バレットは妹のヴェラを手伝いとして呼び、アパートの1室に住まわせるのだが、このヴェラが怪しいのだ。

サスペンスだが、映画を見終われば貴族の破滅を描くドラマとも思える。

バレットとトニーの関係がよく分からない。バレットは召使で雇われながら、いつのまにかトニーの心を支配し、自分の恋人を使って、トニーを完全に壊して行く。何故そんなことをする必要があるのだろうか。貴族階級への恨みか。
バレットの目的はトニーの支配と思うのだがよく分からない。

それだけに、バレットがすごく気持ち悪い。それを演じるダーク・ボガードは、何故かこの映画の雰囲気が前からあったような気がして、ハマっている。気持ちが悪いという言葉しか浮かばない。

スーザンとバレットの関係がまた分からない。スーザンは徹底的に彼を嫌うが、どこかで彼が気になっていたということか。最後は彼女からキスを求める。これもバレットの術中にハマったということか。

Filmarksの評価点は4.0と高いが、バレットの何やら分からない雰囲気が、サスペンスとして面白いと評価されているのかもしれない。

No.1502 2023-534
1963年 イギリス🇬🇧映画
監督:ジョゼフ・ロージイ
この監督は赤狩りで1953年にイギリスに亡命し、以後イギリス、あるいはフランス等で作品を作り続けている。イギリスでの生活の鬱屈した気持ちがこの映画の貴族階級を破滅させて、笑うというラストシーンに凝縮されているのかもしれない。
脚本:ハロルド・ピンター
原作:ロビン・モーム
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