くろまめ

南極料理人のくろまめのレビュー・感想・評価

南極料理人(2009年製作の映画)
4.0
久しぶりに「ちょっと観てみ。」って友達に軽くお勧め出来る作品に会えた。




南極が舞台って今まで名作『 南極物語』とかのイメージが強くて、こんなにゆるい南極もあるんだ。って、斬新な作品だと思う。



男ばっかでひとつの場所に1年以上いたら、あんなになるよなーって男子寮みたいなノリだった。
もう馬鹿らしいやら、微笑ましいやらで、終始ニヤついて観てた。




生瀬勝久さん演じる本さんが、雪氷学者として唯一真面目に仕事してるシーンあったけど、基本はいい歳した男達が極地で如何に退屈しのぎするかって事に費やしている。



堺雅人がニコやかに、的確な突っ込みしているのがツボる。
海老フライでの意見はぞんざいに扱われるし、バターで突っ込む所そこ?ってシーンも好き!



普段作ってる料理も、ちゃんとお皿のソースをナプキンで拭っている丁寧さなのに、食べる側は好きな様にがっつく!もっと感謝して食べろよー。って言いたくなるだろうけど、堺雅人は微笑むだけ。
流石、南極料理人!
家だとグータラで何もしない旦那、威厳ゼロの父親なのに、お仕事はプロ!働く男は格好良いぜ!



ブリの照り焼きとか、おにぎり、何でもない料理が美味しそうで、正に飯テロ作品!
ぶ厚い肉にかぶりつきたくなるし、ミッドウィンター祭でのコース料理や円卓気分の中華料理。
誕生日にはケーキにメッセージチョコの板まで作ってくれるんだから、ふじ基地の皆が羨ましくなってくる。
特に、ラーメンは狡いよね!
そりゃあオーロラなんかラーメンの足元にも及ばないよね。
だって伸びちゃうもんね。




ふじ基地の皆が地味に個性豊かで、嫌いになれない人ばっかりだった。
医務室がすっかりBarになって、アルコール類充実してるわ、看板まであるわ。
皆でNHKの朝の体操して肌見せに喜ぶわ。
摂取-50度以上なのに、裸になるわ。
男の人達が愛すべき馬鹿達ばっかりで、可愛かった。



高良健吾が彼女と噛み合わないの分かってるのに、必死に会話探すのがちょっと悲しかった。
距離も生活習慣も違うと、難しいよね。
ヤケクソになった時の涙が、零れたそばから凍って行くのがウケた。
ラストはやったね!ってテンション上がった。




家じゃあ妻の料理にウザいくらい口出すのに、一切自分はやらない。
そんな男が仕事になると徹底的に料理する。
しかも、料理しかやる事無いから丁寧だし、本格的!
「食べに来てる訳じゃない」って言われるけど、最終的に娯楽や気分転換はやっぱり『食』なんだよなーって実感した。
生瀬勝久の「お腹空いたよ」が可愛いかったし、ささくれた気持ちを和やかにしてくれた。



いちいち貼ってある張り紙も小ネタ満載で、つい読んじゃうし、最後の方になるとすっかり家族みたいになっていてウケた。
生瀬勝久がお父さん化、堺雅人がお母さん化してた。
高良健吾との会話なんて、正にお母さんと息子だし、何故かお母さんって子供のジャージとか履くよね。って細かいあるあるネタだった。
何故かキタローはおじいちゃん的なポジションだったのもぴったり!



美味しい物食べると幸せになる!
幸せになると思わず笑顔になる!
単純だけど、小さな幸せがいっぱい詰まった作品だった。
鑑賞の際は、つまみを忘れずに!
くろまめ

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