TakakiKondoh

パーマネント野ばらのTakakiKondohのレビュー・感想・評価

パーマネント野ばら(2010年製作の映画)
3.9
この監督はすごい。菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴の良さをそれぞれ最大限引き出していて、とにかく画面を見ようという気にさせる。これは必要不可欠。なぜならこの作品は群像劇だから。一本筋の核となるものがなく、ある意味だらだら進む話なので、物語以外の部分で吸引力がないと成り立たない。
これが、アニメにはできないことなんだよなあ。根源的な人間の魅力。アニメにもキャラクターの造形や演技(動きの話ではなく、解釈の幅としての演技)で魅力は作れるんだけど、実写は「ただそこにいる」だけで魅力を発散できる人がいる。それがすぐれた俳優というもの。菅野美穂の良さとは、美人なのか不美人なのかよくわからない、存在そのものの不安定さが魅力。本作ではさらにそれを「感じさせない」ところまで昇華している。次に小池栄子の良さは情念の露出というのか、いろいろ渦巻くものを抱えていそうなのに快活そうな表情を見せられるところ。どちらか片方だけなら誰でもできる。でも両方は難しい。池脇千鶴はというと、木村多江ほどシリアスではない、おかしみのある「薄倖そう」加減。計算しつくされた無防備感。
これらをこの映画はガッチリつかんでる。だからそれぞれのキャラが出て来るだけで話を観ていることができる。もちろんお話も面白かった。チリチリパーマのおばちゃん軍団がほんと下品なんだけど、ラストに来てその優しさにグッと来る。
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