囚人13号

ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険の囚人13号のレビュー・感想・評価

3.5
ハロルド・ロイドのように無垢なアメリカ人の固定観念に満ちた旅を通して、結局はボリシェヴィキ思想の本質に着地するプロパガンダコメディ。
ソ連の人々を未だ食人族と信じて止まないウエスト氏と彼の用心棒カウボーイ、詐欺師のボリス・バルネットなど偏見を持つ外国人に対しての偏見が凄い。相棒は車の天井から(駅馬車の護衛の如く)乗り込むし、投げ縄をぶん回し銃をぶっぱなすものの弾切れしない西部劇の細部/連続活劇のようなスピード感はアメリカ映画をそのまま模倣している。

照明と円形クローズアップはどぎつく、特にそのマスクは多用され過ぎているうえクレショフ効果も顔芸的顔面に攫われたかと思えば唐突な挿入がスラップスティックの流動を制止してしまう瞬間もあった。
面白いっちゃ面白いが、無知なアメリカ人にボリシェヴィキ思想を叩き込むラストは結局詐欺師とやってること同じなのでは…。
囚人13号

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