Jeffrey

ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険のJeffreyのレビュー・感想・評価

3.0
‪「ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険」‬

‪冒頭、とあるアメリカ人のブルジョワ。
ソビエトの視察旅行の計画、悪魔の国、ボディーガード、カウボーイ、モスクワ、こそ泥の少年、詐欺師の一味、米国女性エリー、大砲、釈放。今、ボリシェヴィキに扮した悪党等に捕われ監禁される男の物語が始まる…

本作は1924年に製作された若き日のバルネットやプドフキンが出演する記念すべきクレショフ工房第1回作品として世界に知られてる作品でこの度、レフ・クレショフDVDボックスを購入して初見したが傑作だった。

本作は監督の実験的なワークショップに参加した役者たちのチームによって作られた最初の長編映画らしく、4年間準備作業をしていたそうだ。

とりわけグラフィックデザインを構成とした作風で、クローズアップやミディアムショットが伺えて、独特なジェスチャーも本編に散りばめられている。

特に役者の表情を強調している場面が多くある。物語もシンプルでわかりやすい。また、インターカットが目立ち、突発的な迫力あるシーンに移り変るのは娯楽映画には欠かせない。少しばかり米国映画風に感じるが…多分編集かな。

感想はめっちゃ風刺のきいたスピーディーな展開の作風でびっくりした。

役者たちの顔芸が印象深く残る。
仮装したり、小さなボロ小屋でスープを飲む男性のカット割りや喧嘩、髭を強調した顔作り、猫の赤ちゃんの描写、ラストのあのワンショット…印象的だ。

さて、物語は米国人のウェスト氏が、世界で初めて誕生したボリシェヴィキの国を視察旅行をしに行く。

モスクワに到着した途端にこそ泥の少年にカバンを盗まれてしまいボディーガードとして同伴していたジェディとも逸れてしまう。

そんな散々な目にあった彼のところに詐欺師の一味が現れ、彼を脅迫し金をせしめようとする。

彼は騙されて彼らのアジトに行くことになる…と簡単に説明するとこんな感じで、ロシアンカッティングを楽しめるシーケンスが多い。

余談が、この3年後にバルネットは監督デビューした。

そしてカウボーイのジュディ役‬を演じたのが彼であるし、フセヴォロド・プドフキン演じる伯爵シュバンは後に監督になっている。まだ何一つ見た事は無いが…。

この作品たちは多分レンタルもされてないし、そんな簡単に見れるものではないと思うが、見る機会がある人はオススメである。映画、写真でいろいろな断片を組み合わせて、一つの場面を構成する事がどういうことなのか理解できる教科書的な1本だ。‬


‪この時代のソビエト連邦の作品をもっと見ていきたいのだが、中々観れる環境がなくて残念だ…セルゲイ・エイゼンシュテインの初期作なんて手付かずだし…。クレショフ作もまだたったの3本しか観れてないし…。‬
Jeffrey

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