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アバウト・シュミットのHKのレビュー・感想・評価

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)
3.6
ニコルソン演じるわがままで頑固だけど憎めないジイさんの話かと思ったら、さにあらず。
本作で描かれるのは、長いあいだ家庭を顧みなかった仕事人間の定年後の末路。
この社会現象は日本に限った事ではなくアメリカでも同じなのか。

この映画を観てゾっとした主人公と同年代の男性たち、絶対にこうはなりたくないと思った若い男性たちが大勢いることでしょう(若い人はほぼ観ないのかも)。
そう、本作は家庭を持つ定年前後の男性が対象のリアルなホラー映画とも言えます。
コワイ、コワイ。

ようするに手遅れ、後の祭り、後悔先に立たず、というキビシイ現実をしっかりとこの映画は見せてくれるわけで、コメディタッチですが、とても笑ってなんて観ていられない人も多いと思います。まさしく私もそう。
本作を自分とは全く無縁だと思える男は、さぞや素晴らしい人生を送っている人でしょう。

で、ほぼ救いようの無いこの男の話を観ていられるのは、ジャック・ニコルソンの名演あってこそ。下手な役者だったらとても観ちゃいられなかったと思います。
監督も『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』など実力派のアレクサンダー・ペイン。

ジャック・ニコルソン(当時65歳)は本作でゴールデングローブの主演男優賞を受賞。
共演陣ではキャシー・ベイツ(当時54歳)の貫禄と存在感もさすが(まさかのフルヌード)。

しかし、原題ままとはいえ、邦題はもう少し興味が湧きそうなタイトルに工夫しろよと思ってしまいます。もったいない。
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