ちゃんマチ

アバウト・シュミットのちゃんマチのレビュー・感想・評価

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)
4.8
荻上直子さんが携わっている作品なのか。
感覚が日本的だなぁと思ったら。
私の母もアメリカの企業に勤めていますが、定年なんてないので。自己申告制。

どちらかというとお下品な…(笑)
演技がお似合いのジャックニコルソンですが、とてもおとなしく演じておられました。表情、行動、言葉遣いがとにかく細かい。さすがです。見事でした。

部長代理として保険会社に何十年も勤め続けるシュミッド。リタイア当日のシーンでは、何年も勤め続け人生を賭けたオフィスがスッカリ整理整頓されていて寂しさを感じる。ワンオブゼム、社員の一人。
リタイア後の葛藤、孤独感、虚無感を抱きつつ生きる日々を描いた作品。

平凡な日々にある程度の幸せを感じながら過ごすシュミッド。しかし彼には若い頃、起業してみたい、有名になりたいという夢があった。ハングリー精神があった。
誰しもそういう思いを抱いているものだけど、そこもリアルだった。
だからこそ、今 に不満を感じ本当の気持ちを隠しながら生きる。
そこが日本的であると感じた。

ケチで少々勝手。思いつきで行動することが多い彼。リタイア後ずっと支え続けてくれた伴侶の嫌なところばかりがより目につくようになる。かわいがってきたはずの一人娘も自分の思い通りにはならない。
シュミッドの後がまとなった若造も、あっという間に我が物顔で席に座り、お前のアドバイスなんかいらないといった様子で仕事をこなす。プライドもズタズタ。
なぜだ、なぜだ。。。

そんな時にTVで、恵まれないアフリカの子どもたちのCMが目に止まり、月々22ドルで救える命があることを知る。
早速ンドゥグという男の子の義父となり手紙を書く。一度も会ったことのない少年へのその内容はプライベートなことばかり、子どもには分からない内容の愚痴、思いで埋まる。
葛藤を抱えながら一人で振り返りつつ過ごす中で見えてくる自分。

中盤、これまた思いつきで奥さんが欲しがったキャンピングカーで結婚式を控えている娘のところに向かう道中、公衆電話から娘に電話をかけるシーン。
電話を終えた彼は釣り銭がのこっていないかしっかりチェックする。そこに彼らしさを感じ、細かいなぁと感心。