B姐さん

食人族のB姐さんのネタバレレビュー・内容・結末

食人族(1981年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

<グリーン・インフェルノのための予習>

以前観たときは単なるスプラッタームービーとして観ていて「うわー」と思ったのだが、観直してみるとさほどそうでもなく、まあ亀やら猿やらの例のシーンは今でもあちゃーとはなるものの、妙な耐性ができてしまっていた。
ほとんど忘れてしまっていたが、メッセージ性のある映画だったのね。

改めて観ると、構成がうまく、ダレない。撮影もフェイク(モキュメンタリー)としてとか関係なく、いい意味で嫌なかんじにさせる巧いショットもある。部族の村を燃やし、その行為で(性的)興奮したアメリカ人の男女がまさに燃やした家の残骸のところでセックスする様を望遠のショットで捉えるのだが、背景の向こう側に静かにその様子を眺めている部族たちを観た瞬間、「一刻も早くやつらを食べちゃえ」と思ったのは私だけではないはずだ。

現代社会で表出された問題を提起するという点において、作風は違えど、やっぱりデオダードはネオリアリズモの系譜にある。だてにロッセリーニの助監督はやっていない。まあ適当な私見だが。
そう考えると、『ホステル』を送り出し、今度この映画にもろに影響を受けて作品を作ったイーライ・ロスは、その流れを汲んでいるのかもしれない。社会的な皮肉というより、単なる悪ふざけのような気もするが。

とにかく「スタッフ一同、美味しくいただきました」という最初の映画である(たぶん)。
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