KeitaAndo

食人族のKeitaAndoのレビュー・感想・評価

食人族(1981年製作の映画)
3.8
超素人の意見だけど…

構成が神すぎる。
グロとゴアとエロで掻き消されてるけど、
こんな構成考えられる人当時いなかったんじゃないかな?
題材が違ければクリストファー・ノーラン的な立ち位置になってたかもってくらい。

とりあえず概要を書くと、

前半はジャングルに消えた若者達を探す教授たちの話。
ここではきちんとした映画の撮影方法で、普通の未開拓地グロ映画なストーリーが延々続く感じ。
あー、いつもの画だけで観客を満足させるようなヤツねー、って感じ。

ただそんなB級映画丸出しながら、
重要なのは、発明的なファクターが2つ散りばめらていること。
この段階ではそんなことつゆ知らず、後でうわー、カタルシス来たー、って感動する訳だが笑。

・ファクター1
こっち側の人間の死体や若者たちのものであろう遺品なんかが、特に説明もなく出てくる点。

・ファクター2
部族に対する接し方のHOW TO。例えば裸で挨拶するとか、武器は捨てるとか。がきちんと描かれている


この要素でB級ながら少し盛り上げておいて、最後に教授が若者たちのフィルムを発見して前半終了。

これだけだとただのトンデモゲテモノ映画
だけど…。
構成がすごい!って言ったのは、
ここからがすごいから!
(グリーンインフェルノとかフォロワー映画はここだけで終わってるのでつまんない笑)

後半に行く前に、まず前半と後半を繋ぐブリッジ的な中盤があるんだけど、
そこでは、その教授がアメリカに帰って、若者たちの親族にインタビューをしたり、番組に流す際ために倫理的にどうなのか?を考えたりする、モキュメンタリーが展開される。

この時点で超素人ながら、あ、この映画深い!(安直だけど笑)って思いだす笑


んで、じゃあその持ち帰ったフィルムを覗いてみましょう、って教授が映写室で映像をかけるシーンからいよいよ後半に。

まず、前半部がきちんとした映画の撮影方法で撮影されてるって書いたけど、後半は若者たちの回してた8mmになるので、映像の画質が変わる。
ここでやべー、すげぇ発明やん!って思った笑。
簡単にいうとブレアウィッチやRECが真似た手法。
何年も前の映画だよ??

しかも教授のとなりに専門家がいて、いちいち、「ここは絞りの関係で映像が暗いです」、とか「映像回してる子はこだわりが強いんですよ」なんていう解説を挟んできちゃうあたりも、DVDの特典映像なんかにある解説っぽくて、
え?この映画最先端すぎやありませんか?て感じ。

そんな革新的なギミックを使いながら、
あ、もうこれは傑作やねって思ったのが(何様やねんて感じだけど笑)、
前半部に書いた二つのポイントが後半で炸裂し出したから。
かなりのカタルシスを生んでる。
すげ〜! やべー、そうだったのかてこと。

どういうことかと言うと、
ポイントの一つめに言った、
何も説明されない死体や遺品の”伏線回収”が当事者のカメラを通して描かれる点。
前半で教授が行った時は、ああ、ここで殺されたのねー。遺体ある。かわいそ。
だけの描写が、当事者カメラを通すことで、どうやって殺されたのか、まわりの泣き叫ぶ声、などが臨場感を持って表現される。

さらにそんな悲惨な状態になった背景が、ポイントの二つめで述べた、原住民との関わり方HOW TOに起因していて、
要は教授たちが守った行いを若者達は完全に無視してメチャメチャやってたから殺されたんだ、っていう理由として後半に繋がってくる。
つまり、前半は絶対これすんなよ!っていう大フリがあって、後半で上島竜兵の如く盛大に乗りまくってやってしまうという、説明くさい部分をすべて自然にやってる点で、あ、神映画!って思っちゃいました。


だってこんな構成、プロットの映画他になくない?
インターステラーや6歳の僕が大人になるまで、なんかの凝りに凝った奴を何十年も前にやり遂げてる。

しかも、あまりにもエグい内容なため、一般的にはマイナスに捉えられてる点も、
映画史という歴史のなかでは狙ったようなポジショニングになってて、素敵やん!て感じ

もちろん、一般的に評価されてる、動物の解体シーンや実際の処刑シーンもきちんと盛り込んでいるのも、今じゃ出来ない演出だし。凄いの一言。

これだけの凝った構成に、それらグロシーン、現地人のアテンドから、俳優のジャングル撮影まで、地獄の黙示録レベルの過酷な撮影現場だったことは想像するに容易い。
けど地獄の黙示録ほど評価されてない、
愛しい映画なのであります

でも個人評価低め!笑笑
KeitaAndo

KeitaAndo