紅茶

ストーカーの紅茶のレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
4.5
モスフィルムのチャンネルで鑑賞。学校の課題でこの映画について書くとは思ってなかったが…

ゾーン案内人のストーカーと作家、教授の三人がゾーン内を歩き続ける。飛躍的な空間・時間の変容はなく、三一致の法則に則っているので比較的見やすい。でも、時間に関しては遠回りをする、焦ってはいけない、後戻りのできないという前提はあるけども。
無意識下の自我・本性を知りたくないが故にそれらに直面できない二人の愚痴を妻にこぼすストーカー。明らかにゾーンへ入る前と後でさらに状態は良い変化が見られない。信じることの大切さを訴えるストーカー。物語終盤、ベッドで泣き崩れるストーカーは、真の意味での倫理性を伴った人間を見たことない嘆きが感ぜられる。
三人の思想は対話を欠いた独白形式で主に語られるので、アクチュアルな物語として解釈できず、良い意味で寓意性の塊のよう。特にイコン画やヨハネ黙示録が暗誦される場面で宗教的寓意は含まれているのは明確。

そして、この映画のショットだったり、カット割りだったりは好みの部類。映像もまた美しい。静謐な水の存在やゾーン一面に広がる廃墟で息づく自然。頻繁にクロースアップされる後頭部はオブジェ的造形を持っていて、人の頭とその輪郭線を見てこれほどの美的感覚を得られるとは。
皆さんのレビューを参考に様々な切り口でまた観たい。
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