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ストーカーのDのレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
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タルコフスキーによるこの不朽の名作は、非常に難解とされているが、どんな映画なのかということをわかりやすく噛み砕くならば、タルコフスキー版「インディ・ジョーンズ」のような映画である。

しかしながら、当然そんなわかりやすい話では到底なく、精神世界を中心とした、非常にシュールな世界観が展開され、低予算ながらCG不要の本格SFを仕上げた天才だけが成せる業を知らしめており、観賞の参入度は極めて高い。

原作は、ロシアのSF作家ストルガツキー兄弟によるもので、脚本も原作者の書き下ろしとなっている。

3人の登場人物は、ゾーンと呼ばれる突如出現した禁断のエリアを目的地として目指し、道案内のストーカー、ゾーンまで辿り着きたい教授と小説家が登場し、タルコフスキーの作品らしい象徴性を帯びていている。

映像美はさることながら、その宗教観や哲学性は超現実的な領域に突入して表現される。

つまり、本作において重要なことは、精神の反映として顕在意識と潜在意識の葛藤が描かれて、願いを叶えるゾーンによって本質が暴かれることで、現実が突きつけられるということである。

他にも、全編に渡ってタルコフスキー映画に共通する苦悩が全編に渡り描かれたり、映像に関しても廃墟、水、火、光、暗闇、砂などの美しさに目を奪われること必須であったり、非常にアート性の高い世紀の大傑作である。
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