中庭

トウキョウソナタの中庭のレビュー・感想・評価

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)
4.5
朝日が昇る中、何か別のものへと変わり行く小泉今日子を正面からとらえた長回しのショットは、黒沢映画のどの瞬間にも現れたことのない純全な美しさをたたえるものだった。枯れ葉に包まれる香川照之の姿は後年『クリーピー』のラスト・ショットにおいても繰り返されることとなる。
機械的な動作を続ける津田寛治も、かなり分かりやすいキャラクターとして(内面が単純化され)魅力的に映されていた。
息子の演奏の素晴らしさを、当然のことのように、淡々と受け入れる表情で見守る小泉今日子の顔。隣に座る家族の「権威」の様子とはあまりに対称的だ。
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