南森まち

ペイ・フォワード 可能の王国の南森まちのレビュー・感想・評価

4.0
社会科の授業で「世界を良くする方法を実行する」という課題を出された11歳の少年。自分が人を助けるかわりに、助けた相手に「誰か3人を助け、助けた相手にも3人助けるように約束する」という「善意の前払い」を広めようとするが…というお話。

ネットワークビジネスみたいな考えで、クソッタレな世界を少しだけ良くする、というアイデアは面白い。そして、主人公の環境がハードすぎてそれどころじゃない。ラスベガスの水商売で稼ぐアル中の母との二人暮らしは崩壊寸前。アメリカの貧富の二極化をよく描いたお話だと思う。

善意の前払い(ペイ・フォワード)を始めた少年視点とその出処を追う記者視点と並行して話が進むのだが、エンディングのカンドーのために仕組まれた構成。

そのおかげで飽きない仕組みだが、正直にいってあまり重要ではない記者視点は、もっと少なめで良かったと思う。
主人公が最初の三人を上手く救えないことに絶望する…というところが見どころのひとつなので、成功するのが分かってしまうとガッカリしてしまう。
最後のオチも完全に泣かせにいってるのが露骨すぎて気に食わない。死んだら称えられる、キリスト教らしいっちゃらしいけどさぁ…。

とかなんだかんだいいながら、全体的に良い映画だった。アメリカの貧困家庭の問題や、荒んだ人々を救おうとする子どもの純粋さにやられてしまう。
オススメ!