清潔で真っ白な白衣の白さ、そして鼻につく薬品の匂いが頭から離れない。
人として当たり前にあるとされる感覚(生得的かは不明)が日々麻痺していく。人体も死体も見慣れたもの。うまく表せない違和感を手繰ると目も開けていられない事実にぶち当たる。そんな中、外部(外国人)から「倫理的言葉」が授けられる。「たとえ罪人であっても、彼らの死を決定する権利は誰にもない」といった価値観は欧米から輸入されたものなのかと疑問に思った。この後調べてみようと思う。
パリッとした白衣の彼らの中に立ち込める闇の濃い感情が現れたショットが多く引き込まれた。モノクロ撮影がよく生きた作品だ。手術シーンがリアルすぎて「本当の手術場面ではないか」と思って痛々しく見ていられなかったが、どうやら実際の手術の際に撮影された映像を使っているらしい。