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楢山節考のうちだのネタバレレビュー・内容・結末

楢山節考(1983年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

命が産まれることも失われることも軽すぎる。だからこそ、普通にホラーだった瞬間が何度かあった。食料が潤沢ではなく、気候も厳しく、技術力もない中で子孫を残していくためには、村の掟や風習を強く守っていくしかない。現代の倫理観だとすべてがアウトな掟を村人たちが従順に受け入れて実行していくところが物凄く気味悪かった。特に、一家が生き埋めになるシーンと谷から突き落とすシーン。
新たな命に関するシーンはコメディで、死に関するシーンはシリアスっていうメリハリがついているのが刺激的だった。

昔の解説を見ると、こうした倫理観を気味悪がっている現代人の倫理は、果たして高尚なものなのかっていう問いがされているらしい。少なくともこの映画の公開時は、過労死や残業100時間越え、家長制や体罰みたいなことが当然のことのように受け入れられてただろうけど、今は完全に忌み嫌われるものとして扱われている。そうした過去の常識や風習に気味悪さを抱かせること、そこから人生とはなんなのか考えさせることが狙いだとすれば、案外普遍的なテーマを扱った映画と言えなくもない。

なんかあき竹城がめちゃくちゃいい奥さんに見えてくるんだよなあ。察しが良くて真面目で、愛嬌がある。顔が素朴で田舎者っぽいのがめっちゃハマってる。ばーさんが魚の取り方教えるところとかが微笑ましい。

戦メリより良いと感じたし、カンヌが好きそうな題材ではあるから、こっちがパルムドールなのは納得するけど、果たしてカンヌの人たちはこの映画をどういう風に受け取ったのかは気になるところ。
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