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子猫をお願いのYKのレビュー・感想・評価

子猫をお願い(2001年製作の映画)
4.5
2000年代初頭の韓国・仁川。国際空港が建設され街が高度に発展していく中で、同じく大人への発展途上にある女子5人組の最後の青春を描く。みな個性豊かで愛すべきメンバー。

ファーストシーンは高校を卒業した日(?)の5人。同じ制服をまとって楽しげに歌っている。しかし、どんなときも一緒だった彼女たちも、卒業後はそれぞれの道を歩むことになる。学校は生徒たちを同一化する場所だ。同じ制服、同じ机、同じ給食・・・だが、その校舎という枠がなくなった途端、それぞれのバックグラウンドは否応にも現れる。ズッ友だと思ってたあいつが、急に他人のように見えはじめる。

いちばん好きなシーンは、ジヨンを気づかったテヒが、彼女を誘って散歩に出かけるシーン。近くの食品工場の前で2人は腰を下ろしタバコを吸う。そこでジヨンは、自身の叶わぬ夢をテヒに語る。単純にタバコシーンとしても良いのだが、背後で黙々と食品加工をするパートのおばちゃんたちとの対比が良い。地道に働かないと生きていけない、ただ夢もある。生々しい加工場の前にたたずむ2人には、どんな未来が待っているのだろうか。ラストは良い終わり方だが、ほんとにほんとのラスト1カットだけ、蛇足に感じた。
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