いにしこころ

座頭市のいにしこころのネタバレレビュー・内容・結末

座頭市(2003年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

監督わかってんなーと感じたのはいわゆる「頂上決戦」の演出で、座頭市はその煽り文の通り「最強」なんですけどそれに肩を並べる実力者がこういう映画には欠かせないわけで。そこでライバルとしてもってきたのがどこかの殿に仕えていたけれど今は主人をなくして浪人となった剣士、しかも奥さんが病気でその治療費を稼ぐために命令されるがまま人を切ってるという男なんですが、彼はとても強い。もうひとりそこそこ強いと目されていた人も比較的あっさり切り捨ててしまってしかもイケメン。そんな彼でも一度だけ敗れたことがあって、その劣等感に苛まれているってエピソードもむしろそれを乗り越えた今がある、ゆえに今は違うのだという彼の強さを強調するものにしか見えないのでとにかく彼は強い強いぞと見てるものに思わせる。そこまで盛り上げておいてから波打ち際で座頭市との頂上決戦に臨むのです。

武士が日本刀で切り結ぶのは見ごたえあります。互いに息を止め数秒の静寂のあと素早く剣を抜きそして交えまたこれも数秒たらずで決着がつきその目に炎を燃やしていた腕の立つ剣豪が3秒後には息絶えている。強い者だけが抜いた剣の血をぬぐい鞘に納めることができる。あとはあの独特のリズムもポイントな気がしていて、シャキンシャキンズバ!っていう戦いのリズムの取り方が上手いと武士の勝負は映える。常に全力で打ち込むんではなく雑魚は雑魚として流しつつコンパクトに、決めるときは一気に振りぬくみたいな抑揚のきいた戦いのリズムがあると観てる方も気持ちいいですね。
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