ボルサリーノとリスト・ラジオがトレードマークの正義のヒーロー。
1931年、作家チェスター・グールドによりシカゴ・トリビューン紙に連載され、瞬く間に大人気を博し、一躍アメリカンヒーローの仲間入りを果たした「ディック・トレイシー」をウォーレン・ベイティ自ら製作・監督・主演を務め、アメコミさながらの世界観を見事スクリーンに映し出した。
《原色の勇気》とも云うべき美しい色彩と映像は、イタリア生まれの名キャメラマン、ヴィットリオ・ストラーロによるもので、それはあたかも同コミック、または60年代に放送されたアニメーションを見ているようで実に楽しい。
さらにマドンナ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマンといった豪華出演陣が一堂に会し、名作の予感がするにもかかわらず、そうならなかった(なれなかった)のは未だ疑問であり、再度観る必要がありそうだ。
ともあれ、本作公開の翌年ファンハウスより発売されたレーザーディスク「ザ・ディック・トレイシー〜オリジナル・アニメーション〜全130話」の資料請求の際に同封されてきたポップなポスターは今も大事に保管しているほど同コミックのファンである筆者は、同時に熱心な手塚信者でもあり、自ずと「ディック・トレイシー」に影響を受けて生み出された「下田警部」も大好きなキャラクターであることは云うまでもない。
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