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タクシードライバーのnaoのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.7

鬱屈した世の中への不満

それでも自分はその世界に生きている

自らの存在を世間に認めさせるべく"行動"を起こすまでの過程を描く

ベトナム戦争帰りの元海兵隊員、重度の不眠症、余暇はポルノ映画鑑賞、不満と愚痴を書き殴る日記
鬱屈とした日々に付きまとう逃げ場のない寂しさ、何もかもが薄汚く目に余り、持っていき場の無い怒りだけが蓄積していく

トラヴィスは夜を中心にタクシー・ドライバーをしながら自分なりに必死に考え、行動し解決しようとする。そして、あることをきっかけに内へ溜め込まれた負の感情が、周囲への脅威として反転する

自分とは遠く関係のない敵を作り出し、それを攻撃することで自分の存在理由を実感し、虚しさを解消する
全て悪いのは周りで、自分は正しいという歪んだ正義感

そういう状況を生む社会

この現在にも通じる腐敗し矛盾に満ちた現実のなかで、人としての倫理、苦悩を映し出す

45年も前の作品なのに、社会が抱える問題をストーレートに描く鋭さに驚かされる。ここに現代まで名作と語り継がれる所以を感じました。

誰もが心の奥にある満たされない心の声を映像として視覚化し、間接的に社会の問題点を表現する秀逸な作品です🤔
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