Masato

タクシードライバーのMasatoのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.7

追記
鬱ランクD

1人のベトナム戦争の帰還兵の行く末を描いたアメリカンニューシネマの傑作

やはりアメリカンニューシネマは良いものだ。当時の時代の陰鬱な雰囲気を色濃く残し、映画の展開にさえその影響が垣間見える。

1人の退役軍人のタクシードライバーの苦悩と葛藤をとても繊細に描いていた。

次第に狂気へと変貌していく心が段々と実行性を増してきて、最後にくる自分の価値を証明するための行いには感慨深いものがあった。
果たしてそれは正義なのか、世間が正当化させたただの犯罪だ。
トラヴィスの奥底にある心を爆発させたのにも関わらず、世間はトラヴィスが本当に世間に言いたかったことが伝えられていなかった。
自分が見離されていく。周りを見ていて気付くのは自分が孤独であること、無価値であること。
本当に奥底にあったのは英雄として誇れる自分になることなどではなかったはずだ。
作中にある終わりはハッピーエンドじゃない。考えてみれば分かる、悲しい終わりだったと。

最後のトラヴィスの眼に映る狂気の眼差し。それはいつしか世間を闇に包み込む。

ロバートデニーロのどこからどう見ても抜け目ない最高の演技。マーティンスコセッシが描く1人の悩める若者。
とても良かった。
Masato

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