Ryo

タクシードライバーのRyoのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.3
犯罪はびこる汚れた世界を暴力を持って綺麗にする。ヒーローとやってる事は変わらない。

アメリカンニューシネマ(反体制的な人間、主に若者の心情を綴った映画)の1つで当時の汚く、悪がはびこる社会への不満と怒り、孤独で誰も自分を理解してくれない怒り、戦争から帰ってきたのに人々はセックスだの金だのヤクだのにしか興味のない奴への怒りを見事に表した映画。孤独、理解者がいない、社会に対しての怒りの点については自分もそうであるため共感できる。

アメリカンニューシネマとはヘイズコードの規制がなくなり暴力やセックス、反政府的なメッセージを取り入れた映画。政府に反抗し立ち向かうが社会や政府に勝てず殺されるラストシーンがほとんど。

トラヴィスは殺人犯で単純に見ると異常な人間と思いますが 実際は誰が「普通」な人間で、誰が異常な人間なのか。汚い社会に腹が立てるトラヴィスこそ普通の人間なのかもしれません。

ロバートデニーロの演技は鋭くて狂気な役を完璧に演じてたと思いました。そしてアイリスの親から感謝の手紙をもらい市民の声でトラヴィスは釈放されました。一般人はトラヴィスを英雄としましたがこれは正しい選択なのかは誰にもわかりません。そしてラストシーンのあの表情は多分まだ狂気に満ち溢れ怒りが収まっていないのかもしれない。

多分孤独や悪ばはびこる世界を誰も気づいていない、もしくは気づいてないふりをするやつらに知らしめるためにこの計画をしたのだろう。

ーなぜ大量殺人を行なったのかー
これまで孤独だった彼は女にも振られ友達もいない、黒人もユダヤ人もみんなから親しまれ残ってるのは俺だけなんだと確信した。それは徐々に怒りに変わり、復讐を果たした。

ヒーローになり振られた女にも一般人にも注目を浴び狂気は救われたように見えたがラストに映るバックミラーには復讐の前鏡の前でやっていた時と同じ目をしていた。彼の狂気はまだ終わっていない。。
Ryo

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