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タクシードライバーの社会学者のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.0
この映画を一言で表すと「孤独」だと思います。この孤独が広く共感を呼びかつ名作と云われる所以だと思われます。
ベトナム戦争帰りのトラヴィスはタクシー会社に就職し、街中を走らせる。
街中には殺人、薬物、売春などの悪徳がはびこり、いっそ全てを一掃できないものか考える。
そんな中ある政治家のボランティア事務所で働く女性に恋に落ちるが、結果うまくいかない。
その頃から身体を鍛え銃を購入し、あろうことかボランティア事務所で応援する大統領候補の暗殺に乗り出す・・・。
自分がこの映画に共感したのは浪人時代とかく孤独で、うまくいかない人生を自分にではなく、社会のせいにしてなんとかプライドを保とうという姿勢が、なんとなく主人公のトラヴィスと重なったからです。この時期は政治的な話に敏感になり、そういう話が出ると食って掛かるというような感じでした。「自分が悪いんじゃない。社会がクソだからダメなんだ。社会を破壊してしまえ!」みたいな精神状態だった気がします。ま、私にはそんな度胸は無かったので、トラヴィスのような事はできませんでしたが・・・。
補足:この映画を観て娼婦役のジョディ・フォスターに恋をし、それが叶わぬとわかるとトラヴィスのごとく大統領暗殺(当時はレーガン大統領)に乗り出した(未遂に終わる。)事件があったそうですね。映画の影響力は計り知れないものがあります。
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