半兵衛

群盗荒野を裂くの半兵衛のレビュー・感想・評価

群盗荒野を裂く(1966年製作の映画)
4.2
アメリカという異文化から来た謎の男との友情と自分が尊い使命としてきた革命への奉仕との葛藤の果てに選んだ主人公チョンチュのラストの行為に何故か涙が、上から目線で他の人間に合理性やら先見性を押し付けそれに従わないものを落伍者扱いする奴らがしょっちゅう出てくるが、それに従わず自分の中の微かなくだらないプライドに従い反抗する馬鹿がいてもいいじゃないか。頭を巧みに使ってしたたかに生きるのも人間性なら、馬鹿なりに自分なりの正義や心情を貫くのも人間性。

大きい存在に従順するのを拒否するかのようなラストも素晴らしい。

マカロニウェスタンでよく取り上げられていたメキシコものの一作だけれど、アメリカとメキシコの複雑な関係やメキシコ内の貧富の差など大きく取り扱っていて他の作品よりも社会派としての色合いが強い印象でアメリカという異なる文化と自分の文化との間で葛藤するチョンチュのドラマに似合っている。序盤と終盤でのアメリカ人ビルと子供の会話がアメリカとメキシコの関係性をよく表している。

アクション映画として見ると意外とその要素は薄め、あれだけ主人公が欲しいと探していたガトリングガンの使用もあっさりと出番を終える。

豪放磊落さと繊細さをあわせ持つ主人公のチョンチュのキャラクターと演じるヴォロンテの個性がぴったりでまさに適役、他にも出番は少なめだけど自分なりの神の存在を信じてそれに準じて行動するクラウス・キンスキーも印象的。
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