あつお

ぼくらの七日間戦争のあつおのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくらの七日間戦争(1988年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自己効力感を高める映画。
映画が公開された1980年代は、現代よりも校則がかなり厳しかったと思われる。映画内の描写でも、頭髪、所持品検査、スカート丈、遅刻など様々な理由で罰則、体罰が行われていた。軍隊式の教育なのだろうか。全生徒を同じ型にはめようとする、自由を尊重する現代では考えられない教育方針だ。人口増加が著しい昭和時代においては、教師にとって管理のしやすい教育方法だったのだろう。
しかし、それを黙って見ている生徒ではなかった。恵まれない境遇を受け入れるだけでは、「自分の力ではどうしようもない」という学習性無力感に苛まれたはずだ。しかし、一部生徒たちでストライクを敢行する。秘密基地のような廃墟に立て籠もり、中学1年生の子供だけの自由な生活を送ろうと決心するのだ。
当然教師たちは対抗しようとする。生徒たちは自分たちよりも立場が低い存在と見なしているのだ。当然のことだろう。しかし、生徒達も武力を持ってこれに対抗する。水圧、粉末、時には戦車を利用して教師陣を寄せ付けない。子供だろうと本気で戦おうとしているのだ。
そして物語は終盤に。教師、両親、警察が一同に集まり、7日間戦争は激しさを増していく。しかし、醜い人間同士の戦争で終わらせる子供達ではない。彼らは創造力豊かな存在。最後には花火により空を彩り、戦闘を綺麗に終わらせた。武力はヒトを傷つけるためにも、ヒトを喜ばせるためにも使える。最後には、誰かのためになる行動を選択したのだった。
ヒトは逆境に立たされた時、それを受け入れるか立ち向かうか、どちらかを選択する必要がある。本映画では、逆境に見事に立ち向かい、かつ他人を喜ばせる行動を忘れない子供達の勇敢さ、純粋さを感じられた。閉塞感を感じる当時の人々に、彼らの性格が受け入れられたのだろう。競争が良しとされ余裕を失っている現代にも、響くものがあるだろう。
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