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暗殺のオペラのHarutoMのレビュー・感想・評価

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)
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イタリアの田舎町で、父親の暗殺の真相を追う男の物語。
主人公のアトス・マニャーニが同姓同名である父親が暗殺された舞台である田舎町を訪ねるところから映画は始まる。本作には息子アトスの現在のパートと父アトスの過去パートが登場するが、二者は同姓同名かつ瓜二つの見た目をしている(同じ俳優が演じる)ためまるで時空間が歪んでいるかのような不思議な印象を受ける。これは映画を締めくくる奇妙なラストカットにも感じる本作の幻想性のようなものに通づるものがある。
映像についても不思議な点が幾つもあり、印象的なのは息子アトスが父アトスの石像と見つめ合うようにして回転する場面だ。石像を中心に公転するアトスの視点ショットなのだが、石像と目が合ったまま背景が回転していく。これが有り得ないのは一目瞭然だ。また俳優の演技もやけに劇っぽく感じられ、作品そのものが演技づけられた空間或いは時間のようにさえ感じられる。
まるで劇中の暗殺を巡ってアトスが感じた違和感の如く、整然とした中に奇妙で恐ろしくも感じられる違和感がまとわりついている。
(20240122)
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