TaiRa

河内山宗俊のTaiRaのレビュー・感想・評価

河内山宗俊(1936年製作の映画)
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初めて観た山中貞雄これだったけど、初見時も再見時も感想同じ。面白いなー。以上。

山中貞雄の映画ってお話が90年代映画っぽいよね。『百萬兩の壺』もそうだけど。モノの行き来と勘違いと粋な会話とドライなバイオレンスと、なんかタランティーノとかコーエン兄弟とかガイ・リッチーとかあの当時流行った感じみたいな。今回特に主人公がイカサマ師でコンゲーム要素もあるし。いい意味で若い作家だった。まぁでも前作に比べてこの作品は人間への眼差しが暗く、重くなってるけどね。まだ十代の原節子が特に凄い。弟の駆け落ちが失敗してヤクザに脅された原節子の無言の圧と絶望の無表情、うなだれる角度。ここの姉と弟を見せるカット構成堪らん。絶望した原節子のアップの背景に雪がちらつき始める。タイミング、降り方、百点。これが日本映画で一番良い雪、という説。イカサマ坊主と浪人が若者の為に死にに行くとか普通にアガるんだわ。斬り合いしようとしたら仲良くなっちゃうのも最高。河内山宗俊のカミさんの嫉妬とか向かいの家の調子いい女衒とか、そもそもが不良少年の置き引き&駆け落ち未遂が原因だったり、そういう人間のどうしようもなさが話グングン進めていてやるせないし面白い。
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