クロスケ

河内山宗俊のクロスケのレビュー・感想・評価

河内山宗俊(1936年製作の映画)
4.7
【再鑑賞】
叙情とユーモア、そして活劇と、映画の魅力を全て詰め込んだかのような時代劇の傑作です。

とりわけ、本作が本格映画デビューとなる若干15歳の原節子の無垢な美貌が際立ちます。

弟・広太郎の不祥事に、もはや自分の体をもって償うほかないと悟ったときのシーンでは、床にへたり込んで視線を落とすお浪と申し訳なさそうにしながら、どう声をかけていいのかわからず、オロオロするばかりの広太郎、そして事情を何も知らない近所の小僧の表情と動作を絶妙なリズムで繋げていきます。

綿毛のような雪が静かに舞い落ちる縁側を背景に、クローズアップで原節子の横顔を捉えたショットの美しさは只事ではありません。

この可憐な横顔を見れば、あらゆる修羅場をくぐってきたヤクザな男たちが命を懸けて守りたいと思うのも納得です。
クロスケ

クロスケ