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眼下の敵のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

眼下の敵(1957年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

第2次世界大戦下の南大西洋。新任のマレル艦長率いるアメリカ駆逐艦ヘインズ号は、ドイツ軍Uボートを発見。一方、そのUボート艦長フォン・ストルバーグは、敵の暗号書を本国へ持ち帰るという重大な使命を持っていた。かくして米駆逐艦と独Uボート、男と男の意地を懸けた壮絶な戦いの幕が開ける!

1957年作で、この両艦長の頭脳戦を艦船実写と模型特撮で撮りきったのだから畏れ入る。
スポーツ感覚で男同士の戦いを描いた戦争映画の傑作。
戦争を肯定も否定もせず、プロフェッショナル同士の戦いを追求したと言える。
お互いが知略を駆使しての戦いが、実にスリリング。
主演の駆逐艦と潜水艦の両艦長2人の熱演も、熾烈な戦いに拍車をかけてくれている。

「潜水艦モノにハズレなし」はこの作品からか?と思うほど、既に全てが詰まっている。
潜航して進む潜水艦は地味な素材と思いきや、艦内の緊迫感は凄まじくドラマチック。
潜水艦が一度潜航すれば、大きな棺桶にもなりうる密閉空間。
周りは敵だらけな上に、音を立てて探知されてはならないのでさらに息を潜めなければならない。
見えざる敵との心理戦や、艦内での衝突や浸水に気が抜けない。

援軍の期待出来ない状況で、互いの知略と部下の力量に賭けたトップの責任感と、負けたら即死亡という緊迫感が全編を支配する。
秒を争う判断と操艦には部下との信頼関係が不可欠だが、冒頭のその掌握の仕方からして素晴らしく、まさしくプロフェッショナル。
その船員達との固い関係性が互いに判る有能な艦長同士だからこそ、互いに尊敬の念を抱く。
ラストシーンは、若き駆逐艦の艦長が潜水艦の老艦長に敬礼する姿がまぶしい。
政治が届かない洋上での、純粋な職業軍人同士の騎士道精神を存分に味わせてくれる。

どちらにも目的があり、敵を排除するよりも任務を遂行するために動いている。
両方の艦長は戦争を虚しく思いつつも、任務を放棄することがない。
自分たちが駒の一つでしかないことを理解している。
自分にできることを精一杯に取り組む男たちの清々しさ。
戦いを終えて、2つの国の乗組員たちが力をあわせ、お互いの乗組員を救出に向かう。
そこには、立場を越えた想いがあった。
どんな状況であっても相手をリスペクトできる人間性に焦点をおいた1本だ。
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