冒頭からラストまでお話なんか最小限の説明にとどめてテンポよくアクションばかりやるという香港アクション映画の名職人チャン・チェによる大サービス演出にお腹いっぱい、ラストも余計なエピソードを挟まず敵を倒して主人公が力尽きる瞬間で潔く終わらせるやり方が清々しい。
主人公が正義感は強いがプライドが高くて敵組織の行動に対して用心深いというこの手の作品では珍しい、当初は仲のよい同僚が優しくて親切という主人公でよくいるタイプなので彼が中心人物なのかと思いきや中盤あっさりと殺される。
途中主人公が属する正義の拳法グループが主人公以外敵の拳法チーム&日本から来た忍術グループによって惨殺されるが、なぜ彼だけ助かったのかという理由が強引すぎて拍子抜け(そんな伏線なかったような)。そしてそんな助けてくれた敵のくノ一・純子への主人公の対応が酷すぎて「そりゃないよ」と言いたくなる。そんな非情なことをしておいてあとで仲間と一緒に純子を回想する図々しさにちょっと引く。
後半は日本で忍術を覚え「忍術のルーツは中国にあり」という謎の論理を力説する老人に復讐に燃える主人公が弟子入りして特訓、老人の弟子たちと中国の武術会を支配しようとする忍者グループに戦いを挑むという超展開に唖然。でも五遁(火、水、地、木、金)の技を使う中ボス忍者達を工夫して次々と倒して、ラスボスの忍者にしては派手すぎる剣淵さんに挑むのは懐かしいゲームをプレイしているようで好み。
冒頭日本の資料を元に忍者を再現しましたといった説明が入るが、道具こそよく見かけるが日本での使い方と全然違うので戸惑う。罪人への緊縛方法ばかり掲載したオープニングの絵も本編とは関わりがなくて謎。
そんな楽しい作品ではあるがスターらしい顔立ちの俳優がメインにいなくて華やさかに欠けるのが惜しい、剣淵さんなんてシソンヌのじろうに似ているのでシリアスな場面でもちょっと吹き出しそうになってしまった。