酢

女ざかりの酢のレビュー・感想・評価

女ざかり(1994年製作の映画)
4.0
常人の監督ならとっ散らかって爆死しているだろう企画を、自分の表現の土俵に持ち込んで制しきる大林宣彦の剛腕さには舌を巻く。原作未読だけど多分ガン無視なんじゃないの。日常風景の中に異界を現出させまくり、性と死の臭いをところ構わず蔓延させまくりの演出パワー。完成品は〈新聞社勤めの中年女性版ツィゴイネルワイゼン〉としか言いようがない珍妙さ。でも案外面白いから馬鹿にできない。

超A級懸念材料の吉永小百合は自然体の存在感でまさかの好演。中年男を転がしまくってケロッとしている様にリアリティを感じる。5秒と待たずカットを切り替えまくる狂気の編集は功を奏しているとは全く思えないが、飽きなかったから今回は良しとしよう。
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